監督代行となった渡辺久信GM(58)のホーム初戦の試合前、西武ベンチ前にはいつもの2倍、3倍の報道陣が詰めかけた。
シーズン開幕戦のような異様ともいえる雰囲気にあっても、中村剛也内野手(40)はどこ吹く風。いつもの泰然自若ぶりである。戸惑う表情も見せずに、何も変わらずに動く。
打撃ケージ裏で準備をしていると、巨人岡本和真内野手(27)が近づいてきた。毎年12月、寒風に吹かれながら恒例の自主トレをともにしている。昨年も「まだ(オフで)キャッチボールもしてない」という中でロングティーを打ちながら打撃論議を交わした。
そんな弟子の現状は「あんまり見てない」とまずは無関心を装いつつ「昨日、ホームラン打ってましたね」とやっぱり気になる存在のようだ。前日で10本塁打。「十分でしょ」と頼もしそうに話す。
岡本和が何やら話しかけた。「あいつ、バットちょうだい、って」。ねだられていた。型も違うのに。「いらんやろ!!」と少々高めの声で返しつつ、結局は袋に入ったままプレゼントした。
GMの監督代行を「引き締まった」と表現する若手もいるものの、おかわり君は相変わらず穏やか。この日の先発は前回登板でノーヒットノーランを達成した巨人戸郷。対策は「いい投手なんで。甘い球を打つ」と言い切った。
そして7回の第3打席、浮いた球を本当に左翼席へ放り込んだ。7号ソロに「打てて良かったです」。広報配信の談話はいつも通りでも、40歳にして順調に本塁打を重ねられるのはさすがの存在だ。
ただ、マイペースで過ごしても試合は別だ。第2打席、三邪飛。ミスショットだったのか、打ち終わると右膝を地面に付けたまましばらく固まっていた。9回は最後の打者に。足早にロッカーへ向かった。何歳になってもどんな立場であっても、負ければ悔しい。【金子真仁】



