こんなところであきらめるつもりはない。阪神大山悠輔内野手(29)が、熱い思いをバットに乗せた。1-2の8回。大西の甘く浮いたスライダーを迷いなく振り抜き、左翼席に運ぶ13号ソロで追いついた。それでも浮かれた様子は一切見せずにベースを1周。「いや、もう追いつくだけでしたし、そういう意味ではよかったと思いますけど…」と、淡々と振り返った。
2回の先制劇も先頭大山のおっつけた右前打から始まった。阪神打線は好調だけに右腕ヤフーレを打ち崩すのも時間の問題と思われた。だが、3回以降は決め手を欠き、青柳が踏ん張っている間に得点できず、ずるずると終盤まで進んでしまった。敗色ムードが漂い始めた8回2死から起死回生の1発に京セラドーム大阪は沸き返った。直後に勝ち越されてサヨナラ勝ちの夢はついえたが、23日からの首位広島3連戦に希望をともすアーチになった。
バットは上昇気流を描き続けている。2戦連発は今季2度目。マルチ安打は5試合連続となり、8月の月間打率は3割に乗った。7月の打率も3割ちょうど。2軍落ちの屈辱を味わった6月を底に、勝負の夏場で本来の姿を取り戻してきた。酷暑の鳴尾浜で受けたノックの雨は忘れられない。高卒の若手と一緒に泥にまみれた。1軍復帰後もコンディションを保つため、綿密な準備と、試合前からの豊富な運動量をキープ。悔しさはすべて、残り29試合にぶつけるつもりでいる。
「しっかり明日は、明日というかこれからは、勝ちにつなげられるように頑張りたいと思います」。首位広島との差は5に開いたが、今は一戦必勝で1勝ずつを積み重ねるしかない。23日先発の左腕玉村とは通算12打数5安打、打率4割1分6の好相性を誇る。まずは初戦に全力で挑む。今季初の3戦連発で、勝利を導ければ最高だ。【柏原誠】



