大安&一粒万倍日の12日、慶大・清原正吾内野手(4年=慶応)が全日本大学野球連盟にプロ志望届を提出した。プロ通算525本塁打の父清原和博氏(57)と同じ道を志し、14日開幕の東京6大学秋季リーグ戦に挑む。中学、高校は別のスポーツをし、硬式野球は大学から挑戦。そんな異色のサラブレッドはプロ野球選手になれるのか。アマチュア野球担当記者が可能性と魅力に迫る。
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堂々たる22歳に負けないよう、濁さずに書く。清原正吾はプロ野球選手になるにふさわしい若者だ!
昨年12月24日、初めて取材した。「目指したい」とプロへの夢を口にし、カメラを向けると、この上ない笑顔。話題性十分。それだけに、時が来たら父の事件にも触れねばと緊張した。
杞憂(きゆう)だった。その後1対1の取材で触れると「事件」「逮捕」「執行猶予」という単語がよどみなく長男から出る。繊細な年頃だ。同じ立場なら隠したい人の方が多いはず。
「いや、全然。僕たちの家族はあの事件があったから、今の家族になれてると思うんですよね。事件がなかったら多分、今より全然悪い関係性になってたなって思ってて。とがって怖かった父親があの事件で優しくなって、丸くなって、もう1回家族でみんなやり直そうって4人が思えたから、いま最高の家族の形が作れてるのかなって」
逃げたり隠れたりごまかしたり、そんな大人たちが連日世間をにぎわす中、清原の懸命さと純粋さと明るさは、社会を照らす存在にもなりうる。「スカウトにどこを見てもらいたい?」と尋ねると「一番は明るさと元気です」と華やかな表情で声を弾ませる。
プロ野球は、ファンがいてこそ成り立つ世界だ。ないがしろにしては、野球がうまいだけでは認められない。どん底の経験に加え、中学と高校と他スポーツを経験した知見もあり“人間力”では間違いなくドラフト1位級。人々に愛され、令和の野球界を変えるだけの資質を秘める。
あとは実力…と思っていたから、8月末の北海道での日本ハム2軍戦での1発には驚かされた。「ずっと練習してるんですよ」というインサイドアウトのスイングで、プロの投手から苦手の内角球をエスコン左翼席へ。腕っ節の筋力というより、ロッテ岡のような筋瞬発力で「打った瞬間」レベルで飛ばした。ダイヤモンド1周の姿もあまりに華やかだった。【金子真仁】
◆高校で野球部以外に所属したプロ野球選手 52年に南海入団の杉山光平は静岡商時代はテニス部。83年ロッテ入団の長島哲郎は仙台育英(宮城)時代に書道部だった。11年に日本ハム入団の大嶋匠は新島学園(群馬)時代にソフトボール部。ロッテ和田康士朗は小川(埼玉)では陸上部に所属していた。今回プロ志望届を提出した清原は慶応普通部(中学)でバレーボール部、慶応高(神奈川)ではアメリカンフットボール部に所属した。



