夏真っ盛り、若虎も熱い! 阪神中川勇斗捕手(21)が高卒4年目で特大のプロ初本塁打を放った。プロ初の5番スタメン起用に応え、中日ドラフト1位左腕の金丸から超フルスイングで左翼席中段にたたき込んだ。アーチに感情を爆発させ、凡打でもヘッドスライディングをいとわなかった若虎。夏甲子園を戦う高校球児に負けないハツラツプレーでナインに気合を注入した。チームは8失点で3試合ぶりの黒星を喫したが、対象チームの巨人が負けたため、優勝マジックは一つ減って31となった。
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バットの先端まで熱い血がたぎっているようだった。2回1死。小さなファイター中川が、初勝利を狙う金丸に襲いかかった。初球の150キロ。外角高めの難しい球でもお構いなし。思い切りバットを振り抜き、広いバンテリンドームの左翼席中段まで飛ばした。
「強い直球に、空振りやファウルにならないようにいきました。打った瞬間、完璧だと思いました。僕は全打席、結果を出していかないといけない立場。続けていきたいです」
172センチ、75キロの体に秘めた気持ちは熱い。初回、ブライトの左前打を捕球ミス。先制点につながる痛い失策だった。記念の同点ソロにも「迷惑をかけてしまった。うれしさはなかった」。登録は捕手。打力を買われて今季初めて外野に挑戦。6度目の先発だった。しかも休養の大山に代わる初の5番。「5番か。俺か、という感じでした」。
5月6日のプロ初安打と同じように、6回に二遊間への打球で一塁に頭からダイブした。京都国際では21年夏に甲子園4強。プロになり4年たっても変わらない。涼しいドームでも泥と汗にまみれ、高校球児さながらのファイトを見せた。9回には右前打も放ち、初のマルチ安打。地元愛知の小牧市出身。あこがれの場所だったバンテリンドームで、観戦した両親、姉、兄に「何とかいいところを見せたかった」と見事に錦を飾ってみせた。
「打てる捕手」として評価されていたが、今はミットはほとんど手にせず、バットでの勝負に集中している。用具メーカーが同じ縁でDeNA牧と知り合い、1月に合同自主トレが実現。「冗談抜きで、センスは僕よりあります。あの体格で普通に右に運べるのはセンスとリスト(手首)」と言わしめた。牧は2軍で右中間に飛ばす映像を見て驚いていたという。
5番に抜てきした藤川監督は戦う姿勢を改めて評価した。「すごいホームラン。気持ちが出たというよりは、それがあるからヘッドスライディングになる。1打席にかけるところが前から目にとまっていた。そこにすごく魅力を感じる」と目を細めた。
3試合ぶりの敗戦だが、巨人が負けて優勝マジックは31に減った。がむしゃらな若武者の存在も、栄光のゴールテープに向かう強い推進力になっている。【柏原誠】
◆中川勇斗(なかがわ・はやと)
◆生まれ 2004年(平16)1月27日、愛知県出身。
◆体 172センチ、75キロ。右投げ右打ち。
◆野球歴 味岡小1年から味岡キングスで始め、中学時代は愛知尾州ボーイズ。京都国際では1年秋からベンチ入り。3年春夏の甲子園に出場し、夏は2本塁打で4強入りに貢献。高校通算18本塁打。21年ドラフト7位で阪神入団。
◆プロ初出場 4月30日の中日戦(バンテリンドーム)で同点の7回に代打登場。斎藤から四球を選ぶ。
◆プロ初安打 5月6日巨人戦(東京ドーム)で「7番左翼」で初スタメン。5回1死で巨人石川から三塁強襲内野安打でヘッドスライディング。
◆捕手兼外野手 昨季2軍で打率3割2分1厘を残した打力を生かすため、昨秋キャンプから外野守備練習を開始。「出るチャンスのあるところでやろうと思っている」と決意。
◆弟子入り 今年1月、DeNA牧の自主トレに参加。バットメーカーの担当者が同じ縁で志願した。23年打点王、最多安打の牧から「器用というよりも天才系なのかな。すごい面白い選手」と高評価を受ける。



