西武成田晴風投手(20)は試合後、ボールを持っていた。負けた。ウィニングボールではない。
「記念じゃないですけど渡されました。初登板で初被弾。1軍はこれだけ怖いぞって。今日の初心を忘れない意味で」
弘前工(青森)からドラフト4位で入団し、今年で高卒3年目。初めて1軍のマウンドで投げた。154キロが出て、直球の回転数は2500を超えた。
しかし成田本人は「球速も出ていたんですけど、自分的には1つ、弱い感じがあって」。2死後、9番奈良間に高めのボール気味152キロを左翼席まで運ばれた。1軍を痛感した。
「ホームラン、プロに入って初めて打たれたんで」
プロ1年目に頸椎(けいつい)を手術し、2年目の昨季まで1、2軍とも公式戦登板の機会がない“幻の剛腕”だった。だから2軍でも3軍でも被本塁打さえなかった。
それでも昨秋フェニックス・リーグでいきなり自己最速を一気に更新する156キロ。その豊かな素質に、西口監督も今季のクローザー候補の1人として検討していたほどだ。
「自分の頑張りもあったでしょうし、もちろん何より周りのサポートのおかげなので。ここまで来られたことは素直に喜びたいです」
そんな初登板を終えて。
「今日のようなビハインドでも、僕の投球でチームの雰囲気を乗せて逆転につながるような投手に。勝っている場面ならチームをしっかり引き締められるような、そんな投手になりたいです」
渡辺久信氏(60=日刊スポーツ客員評論家)が付けていた背番号41で、これからも逃げずに堂々と牛耳っていく。【金子真仁】



