延長10回、試合を決めたのはソフトバンク川村友斗外野手(27)の日本シリーズ初打席初本塁打だった。柳田の代走で8回に途中出場。10回1死でまわった打席でDeNA伊勢の2球目高めチェンジアップを「真っすぐ打ちにいったら体が反応して引っかかった」とバックスクリーンへ。公式戦でも通算194打席で2年前の1本塁打のみ。今季は代走、守備固めで103試合出場も45打席で打率は1割にも満たない。「みんな打つと思ってなかったんだろうなと」とベンチに戻るとナインから手荒い祝福を受けた。
5月に右足首を痛めながらも1軍でプレーし続けた。毎日の早出特打もかかさなかった。「毎日練習して、最後にこうやって報われたのかな。1年間やってきてよかったなと思います」。耐えきれない状況となり9月28日に登録を抹消もCS前に1軍に戻った。痛み止めの注射を打ちながら、「死ぬ気で頑張るだけ」とそのポジションは誰にも渡さない。
仙台大から21年ドラフト2位で入団。小久保監督が1軍監督となった24年に支配下となった。指揮官も「あんな笑顔、5年付き合って初めて見ました」と喜んだ。今季限りで引退した中村晃内野手(36)が書き8月に出した本も読んだ。「高校時代のこととかもしっかり覚えていて驚いた。いろいろなことが書いてあっておもしろかった」。プロで19年生きてきた先輩の思いを頭と心に刻んだ。巨大戦力の中で、足と守りで立ち位置をつかんだ苦労人が、最高の舞台で最高の輝きを見せた。【石橋隆雄】
▼ソフトバンク川村が延長10回に決勝弾。川村は24年にも日本シリーズに出場していたが、打席に立つのは初めて。シリーズの初打席本塁打は22年<2>戦内山(ヤクルト)以来17人目で、ソフトバンクの選手では初。初打席本塁打がVアーチとなったのは、90年<1>戦デストラーデ(西武)に次いで2人目だ。また、川村は今季のレギュラーシーズンでは出場103試合で0本塁打。シーズン0発の選手がシリーズで本塁打は、17年<6>戦の白崎(DeNA)以来17人目。



