同級王者マニー・パッキャオ(40=フィリピン)が初防衛に成功した。挑戦者で元4階級制覇王者の同級6位エイドリアン・ブローナー(29=米国)を3-0(117-111、116-112、116-112)の判定で下した。序盤から素早い右ジャブ、スピードある踏み込みからの左ストレートで攻め、7回にはロープ際に追い詰めての連打で追い詰め、9回には相打ちの左フックでぐらつかせた。常に主導権を握ってカウンター狙いのブローナーをロープ際に追い込んで試合を優位に進めた。区切りの70戦目。昨年12月17日に40歳の誕生日を迎えた後の初世界戦で健在ぶりをアピールした。

16年11月のジェシー・バルガス(米国)戦以来、約2年3カ月ぶりとなる米本土での世界戦だった。約1万3000人の観衆で埋め尽くされた会場の視線を浴びながら40歳王者は「KOしたかったが、無理をするなとセコンドから言われた。ベストは尽くしました。40歳になってもできます。自分はキャリアが終わったなんて思ったことはない」と自信の笑みを浮かべた。

19歳でWBC世界フライ級王座を獲得し、階級を上げながら20代、30代、そして40代でも世界王者となった。過去にヘビー級のジョージ・フォアマン(米国)が20年以上かけて20代と40代で世界王座を獲得。ライトヘビー級とクルーザー級で王者となったバージル・ヒル(米国)も20代、30代、40代で世界ベルトを獲得した例はあるが、これらの記録をパッキャオは超えている。6階級をまたぎ、初戴冠時のフライ級よりも約16キロ重いウエートで世界のトップに立っている。

試合前の控室で、本格的な現役復帰をほのめかしている元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)と対面した。15年5月以来、2度目の対戦の可能性も高まった。今秋に米ラスベガスでの再戦が浮上しており、観客席から試合を見守ったメイウェザーに問いかけるように、パッキャオは「彼が戻ってくるならやってもいい。やる用意はできている」と意欲を示した。

米メディアによると、今回はファイトマネーだけでパッキャオが1000万ドル(約11億円)、ブローナーも250万ドル(2億7500万円)を獲得し、さらにPPVでの利益が加わるという。一部メディアでは「パッキャオの収益は少なくとも2倍の2000万ドル(約22億円)になる」との見通しを報じていた。