WBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(36=帝拳)が同級最強の「頂」に屈し、2団体の世界王座統一に失敗した。

世界的スターとなる元3団体統一同級王者で現IBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)に9回TKO負けを喫した。プロデビューから9年、17年の世界王座初奪取から5年、常に目標としてきた現役レジェンドから勝利できなかった。

【村田諒太vsゴロフキン】村田諒太9回TKO負け ゴロフキンの強打に倒れタオル/ライブ詳細>>

村田の主な一問一答は次の通り

   ◇  ◇  ◇

-試合後の感情

村田 「まだ感情はわかない。ゴロフキン選手のイメージは『強い』『無理やりにでも倒してしまう』というものだったが、実際にやってみたら強さよりもうまさ。ボクシングの完成度の高さの違いを改めて感じました」

-効かせる場面もあった

村田 「ボディーはよかったんですけど、右ストレートを前で殺すというか、打ってるが距離がずれる。そこが打たれ強いと言われるゆえんなのかと。右の感覚が合わなくて、途中で左フックに変えたりした。対応力のうまさ、僕より1枚も2枚も上手だった。僕にはない経験。強い選手とやってきた経験の差が出たのかなと思います」

-どこがすごかった

村田 「ダメージの蓄積。パンチ力自体は、『これならどうにかなる』という感じだったが、角度を変えて入れられた。技術の幅。それはすごく感じた。こんなにうまいんだと思いました」

-メンタルの保ち方

村田 「36の年になって、まだ続けていて、何ができるのかいろいろ考えていて、いろんなことで自分の強さを証明したかった。強さとは何か。中学校の時はすぐに逃げ出す弱い自分がいた。高校生の時の全日本選手権決勝、北京五輪でのふがいない。そういったものを乗り越えて、自分を律して、自分自身を乗り越えたいと思ってやってきた。モチベーションがなくなるというのは防げた。メンタルはしっかりとできた」

-TKO負けの瞬間

村田 「タオルを投入したのは知らなかった。今知った。でも、僕自身もきついと思っていた時期。当然のタイミングだと思う。一番にやらなければいけないのは無事にリングを降りること。ゴロフキン選手は大丈夫だと思いますけど、無事でカザフスタンに戻れるように」

-終わってみて

村田 「言葉にしちゃうと残る。後で回収しないといけなくなるので、今の時点で言えることはない。負けた。それだけです」

-ゴロフキンのすごさ

村田 「2ラウンド3ラウンドの入りはよかった。ただ、総合力。めちゃくちゃパンチ力はありましたけど、自分のブロッキングでなんとかなった。ただ、種類の少ないパンチになってしまったので、一発のパンチ力とかスタミナとか、数値的なことではなくて、技術的なところで彼の方が上だった」

-試合中の笑顔

村田 「会場に向かうときに、会長に『楽しんでこい』と言われて、そうだよなと。プロに来て憧れの選手と試合ができて、この場を作ってくれたのでしっかり…。…楽しくなかったですけど(笑い)。でも、楽しい場面もありました。どこまで行ってもボクシングファン。海外の試合を見てきて、憧れの選手とやっていることがうれしかったですし、何よりも『楽しんでこい』って言われたのが一番うれしかった。プロに入ってプレッシャーを感じることが多くて…。楽しくなかったですけどね(笑い)? でも、ちょっと楽しい瞬間っていうのがあったかもしれないです」

-自己評価

村田 「『よくやった』とか、『全てを出し切りました』とかって、試合後に時間がたってからじゃないと…。今、この時点で言えることはない。客観的に捉えることができない。でも、拍手をいただけた。その事実に対して少しは、ほんの少しくらいは、自分のことを評価してあげてもいいかな」