IBF世界ミニマム級王者重岡銀次朗(24=ワタナベ)が2度目の防衛に成功した。同級6位ジェイク・アンパロ(26=フィリピン)の挑戦を受け、2回1分15秒KO勝ちを収めた。

当初の挑戦者だった同級9位アルアル・アンダレス(フィリピン)が試合1週間前に体調不良を理由に対戦をキャンセル。28日に急きょ決まった挑戦者アンパロを確実に仕留めた。

昨年10月、ダニエル・バラダレス(メキシコ)に5回TKO勝ちして以来、約5カ月ぶりのリングはメンタル面を試される舞台となった。25日夜に対戦相手の変更を伝達されたという重岡銀は「生きた心地がしなかった。正直、メンタルはきつかった。これで試合がなくなったらどうしようと思ったが『絶対にできる』と練習した」と言う。翌日からも減量とジムワークを継続。必死にサンドバッグを打ち続けて集中する姿に、同興行で同じく2度目防衛戦を控えるWBC世界同級王者の兄優大(26=ワタナベ)も「慰めようと思ったが、必要なかった。メンタルが強いなと思った」とほめるほどだった。

28日には挑戦者が決定し、重岡銀は「超うれしかった。ほっとした」と安堵(あんど)感を胸に心身を仕上げてきた。アンダレスよりも世界ランクでも上のアンパロは前WBOアジア・パシフィック同級王者。実績で上の挑戦者に変更となったものの「あくまでも自分のボクシングを高めることをしてきた。あとはリングの上で対応できる。影響は何もない」と自信を深めてリングに立っていた。

幼少時代から目標として掲げてきた元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高が樹立した国内記録の13回防衛に向け、1歩前進した。世界王者になる前から「不敗神話」で有名な選手で中学時代まで約40戦無敗。高校1年時の総体県大会決勝で兄優大との対戦が実現した際、兄弟対決を回避したセコンドのタオル投入による棄権負けが唯一の黒星だった。高校時代は通算56勝1敗で、プロも無敗を継続。100戦以上のキャリアで事実上、無敗という重岡銀が防衛ロードを突き進んでいく。

 

◆重岡銀次朗(しげおか・ぎんじろう)1999年(平11)10月18日、熊本市生まれ。幼稚園から小学6年まで空手。小学4年から並行してボクシングを開始。小学5年からU-15(15歳以下)全国大会で5連覇。熊本・開新高で16、17年高校選抜連覇、16年国体優勝など5冠を獲得。アマ戦績は56勝(17KO・RSC)1敗。18年9月にプロデビューし、プロ4戦目でWBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座を獲得。22年3月に日本同級王座、23年4月にIBF世界同級暫定王座を獲得し、同10月に正規王者に。家族は両親と姉、兄、妹。身長153センチの左ファイター。

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ダブル世界戦 重岡優大-ジェルサエム、重岡銀次朗-アンパロ/ライブ速報