東前頭6枚目の臥牙丸(28=木瀬)がうれしい初金星を挙げた。横綱日馬富士(31)を押し出しで破り4勝目。おちゃめで明るい性格の人気者が、一躍脚光を浴びた。

 夢のような光景に、笑いが止まらなかった。臥牙丸は結びの土俵から周囲を見渡す。「座布団、頭に当たりたかった。もっと飛んでもらいたかったな」。独特の感性で喜びを表現すると叫んだ。「あ~、良かった。初金星! 神様、ありがとう」。風呂の中でも歓喜の雄たけびが響いた。

 午後5時53分。仕切り直しが勝機につながった。「1回目は横綱が早くて、もうここ(目の前)まで来ていた。負けてたよ。どうせ勝てないんだけど」。2度目は成立すると、のど輪を耐えて右で押す。「これが入った」。日馬富士の体が大きく後退し、右足が土俵を割った。

 前夜は午前3時まで緊張で寝付けなかったが「どうせ負けるなら無駄」と床に就いた。夢から覚めると、うれしい初金星。名称変更した母国「ジョージア」初金星にもなった。

 今夜は祝杯! と思いきや「我慢します。体が硬くなって相撲が取れない」とまじめな一面も見せた。公称199キロの体重も「本当の本当は、205、6キロ。最高218キロまで増えた」とスラスラ。昨年秋場所は十両に陥落し5勝10敗。そこから食事を改善し、普段1升以上飲む焼酎も場所中は控える。「終わったなと思ったけど、戻ってきて金星を取れた」。普段はひょうきんだが、陰の努力が報われた。

 06年に父ダトさんを交通事故で亡くし、故郷に1人残した母ニノさん(53)は人工透析を受けている。毎日電話する孝行息子は「絶対喜んでくれる」と心を躍らせた。「いい1日でした」。そう言い残すと、約300人のファンとハイタッチして帰宅。午後6時30分。スター気分で過ごした37分間だった。【桑原亮】

 ◆臥牙丸勝(ががまる・まさる)本名ジュゲリ・ティムラズ。1987年2月23日、ジョージア・トビリシ市生まれ。05年世界ジュニア相撲選手権団体戦準優勝、個人無差別級3位。同年九州場所で初土俵。09年九州で新十両、10年名古屋で新入幕。12年初場所で12勝し、翌春場所で自己最高位の小結に昇進。家族は母と兄。186センチ、206キロ(公称199キロ)。