大相撲名古屋場所は今日12日、愛知県体育館で初日を迎える。左肩の故障から3場所ぶりに出場する横綱鶴竜(29=井筒)は11日、土俵祭りに参加した。初日の関脇逸ノ城(22)は、2場所連続全休の始まりとなった春場所初日にも組まれていた相手。当時は61年ぶりの「横綱の初日不戦敗」という不名誉となっただけに、仕切り直しの一番で再スタートを切る。

 3場所ぶりの土俵が目の前にある。土俵祭りで、鶴竜は今までと違う感覚でいた。「いつもと違った感じです。いよいよだなと」。その表情はどこか、ワクワクしている様子だった。

 左肩のけがで、2場所連続で全休した。決断は春場所の初日前夜。そのために初日の取組が突然、消えた。横綱の初日不戦敗は、54年(昭29)夏場所の吉葉山以来61年ぶり。その不名誉を残した相手が逸ノ城だった。あれから126日。3場所ぶりの復帰の一番に組まれた相手は同じだった。

 「やり直す機会を与えられた感じです。また同じ相手だったので。再スタートという感じです」

 休場明けの初日は誰もが硬くなる。まして結果を求められる横綱は、その度合いが違う。北の湖理事長(元横綱)も「一番心配なのは鶴竜」と言った。「2場所連続で休場して、初日は緊張するもの。それだけ土俵から離れているから神経も使う。初日は地に足がつかない。地に足がついているか確かめるには(逸ノ城は)いい相手だ。勝てば気持ちも変わってくる」。まさに試される一番になる。

 鶴竜も、緊張感は分かっている。ただ、場所前「結果を残さないといけない。だからといってちっちゃくならず、久しぶりの相撲、場所を楽しめてやれればいい。つらいですよ、テレビで見ているのは」と語っていた。重圧以上に相撲が取れる喜びがある。それをかみしめている。5月には長女アニルランちゃんが誕生した。新大関がいる場所は、新米パパが復活を期す場所でもある。【今村健人】