大関稀勢の里(29)は今日8日目勢と全勝対決。勝者は、中日の日本人力士では07年秋場所の安美錦以来8年半ぶりに、全勝で単独トップに立つ。

 稀勢の里が盤石の寄り切りで無敗を守った。琴奨菊に土をつけた隠岐の海を相手に左を差すと、代名詞の強烈なおっつけから右上手も取る。土俵際の突き落としを警戒し、腰を落としてじっくりと攻め切った。「まあ、良かったと思います」。今場所、毎日繰り返す言葉。口数は少ないが、確かな自信の表れだった。

 琴奨菊の初優勝で注目された「ルーティン」。それが稀勢の里にもある。9勝に終わった初場所後、「心と体がかみ合っていなかった。調整法が間違っていたのかもしれない」。若いころは場所中の朝稽古でも泥まみれになった。現在の部屋に移転後、約2年間はやめていたが「一番力が出る状態にしておきたい」と初心に帰る。毎日土俵で立ち合いの動きを確認し、最後はテッポウ。この繰り返しで白星街道に乗った。

 勢には幕内で10戦無敗と圧倒。勝てば初日から13連勝した13年夏場所以来、2度目のストレート給金。そして04年九州場所の新入幕以来、初めて賜杯レースの単独トップ。「1日1番、しっかり集中してやるだけですね」とおごりはない。【桑原亮】