横綱白鵬(31=宮城野)が、歴代単独トップの幕内通算880勝目を挙げた。春場所初日で不覚を喫した西前頭筆頭宝富士(29=伊勢ケ浜)に対し、立ち合いから左張り、右かち上げを見舞う。36度目の優勝を決めた必勝パターンで先手を取ると、休まず寄り切って圧倒。そのまま勢い余って土俵下まで吹っ飛ばしてしまった。

 春場所では2度ダメ押ししたため、場所前に審判部から厳重注意を受けたばかり。さすがにばつが悪かったのか、すぐ我に返ったように手を差し伸べ「投げ捨ててやろうと思ったけど(外に)出てしまった。(手を差し伸べる)余裕が出てきたんだと思う」と話した。

 取組直後は勝ち残りを忘れて引き揚げようとするなど、動揺を隠しきれない様子。だが土俵下で見守った友綱審判長(元関脇魁輝)は「別段、問題になるような相撲じゃない」と、ダメ押しをキッパリと否定した。その上で「自分の中で『やっちゃったかな』という反省の気持ちがあったのかもね」。

 いずれにしても、大記録には違いない。白鵬は「1つの話題になってくれればうれしい」と話し、満面の笑みで記念写真に収まった。