日本相撲協会は10月31日、大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。秋場所で初優勝を全勝で飾った大関豪栄道(30=境川)は初めて東の正位につき、初の綱とりに挑む。秋巡業では貴乃花巡業部長(元横綱)から助言をもらい調整も順調。福岡では、稀勢の里らが所属する田子ノ浦部屋との合同稽古を計画中。ライバル大関との鍛錬で心身を整え、勝負の場所に臨む。

 土俵で見せる燃えたぎる闘志は、まだ心の内に秘めた。初の綱とりという人生最大の挑戦まで、あと2週間。豪栄道の口調は静かで、落ち着いていた。

 「自分のやることは変わらない。自分のペースでやることだけ考えてます」

 かど番で迎えた秋場所は、日ごとに自信を膨らませ、千秋楽まで白星を並べた。全勝優勝の大関には、98年名古屋で昇進した若乃花以来となる日本出身横綱誕生の期待がかかる。それでも「プレッシャーも今のところないですね」とサラリ。「誰もが経験できることじゃない。幸せなこと」とプラスに考える。

 10月5日から22日間に及んだ秋巡業では、1日も休まず汗を流した。22年前、同じく秋場所全勝優勝を足掛かりに翌九州後に横綱に昇進した貴乃花巡業部長からは「あえて不利な形から相撲を取れ」と助言をもらい、レベルアップに取り組んだ。その鍛錬の手は、九州入りしても休めない。今年から稀勢の里らが所属する田子ノ浦部屋が、同じ福岡・大野城市に宿舎を構えたことから、場所前に合同で稽古する予定。先場所まで3場所連続で綱とりに挑んだライバル大関と肌を合わせ、体を仕上げる。

 師匠で九州場所担当の境川部長(元小結両国)は「風格のようなものを感じた。いい肉の付き方をしている」と目を細める。この日、表敬訪問した大野城市の井本宗司市長からは、優勝すれば市内でパレードする計画があることも明かされた。かど番から連続優勝での横綱昇進なら史上初。入門して12度目の九州は、注目を一身に浴びる勝負の場所になる。【木村有三】