プロ野球阪神の大ファンで、新十両の大の里(23=二所ノ関)が“アレ”に向けて一直線だ。白鷹山をはたき込み、十両だけではなく幕内も含めた関取衆で唯一、無傷の6連勝。日体大で2年連続アマチュア横綱に輝き、幕下10枚目格付け出しデビューから3場所目で存在感を見せている。今月に入って無敗の11連勝で優勝した阪神同様、一気に優勝を決めるつもりだ。幕内は大関貴景勝ら5人が、1敗でトップに並んだ。

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11連勝で優勝した阪神のように、もはや手の付けられない強さだった。大の里は192センチ、176キロの恵まれた体格を生かし、立ち合いで白鷹山を押し込むと主導権を握った。打ち合いでも投げ合いでも勝ってきた阪神に負けじと、5日目まで組んでよし、離れてよしの大の里。警戒して相手の腰が引けたところをはたき込んだ。6連勝で優勝争いの単独トップを守り「落ち着いて取れてよかった」と、胸をなで下ろした。

石川・津幡町出身だが、家族の影響で、プロ野球は幼少期から阪神ファンだった。甲子園での観戦経験はないが、日体大時代は東京ドームに阪神を応援に行ったこともある。前夜はリアルタイムで、試合の映像を見ることはできなかった。ただインターネット速報は細かくチェックし「最後は興奮した。優勝してくれてよかった」と、一夜明けても喜びを表現。「ビールかけがよかった」と続けた。

初土俵から3場所目でまだ、まげも結えない。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「ちょんまげに1年。大銀杏(おおいちょう)は、さらに半年先か。大の里のように体が成長していると、体に栄養がいくから毛が伸びるのが遅いらしい」と、大銀杏は25年と予想。今場所は早々に十両優勝の可能性も高まったが当の大の里は「気にしていない」。意識しないように「アレ」と言う日は近いかもしれない。【高田文太】