頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアで秋場所3日目から休場中の関脇貴景勝(28=常盤山)が20日、現役引退することが分かった。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)が、この日午後に、日本相撲協会に貴景勝の引退届を提出したことを明かした。

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元大関貴景勝の引退は勇気ある決断と感じた。直接的な原因は首の負傷。このまま無理をして土俵を務めていれば、今後の長い人生に大きな影響を及ぼす。幕内で4回優勝。立派な引き際だと思う。

昨年初場所で優勝を飾り、続くご当地の春場所で綱とりがかかった。大きな期待をこめて周辺を取材した。体的には決して恵まれているとは言えない。大きな相手に真っ向勝負を挑み、大関を張った。その源流が知りたかった。

取材の中で共通したのがやはり気持ちの強さ。幼少時から格闘技にのめり込んだ。極真空手でその負けん気は有名だった。指導したある師範が教えてくれた。沖縄で合宿を行い、小学2年の貴景勝は師範たちを相手に砂浜で相撲を挑んだ。さすがに負ける。しかしめげない。口から血を流しながら、何度も挑みかかっていったという。

頭からぶちかます押し相撲しか道はなく、その道を究めていった。極真空手で指導していた指導者は「あんな負けず嫌いは見たことがない。こちらが恐怖心を感じるほどだった」。その負けん気の強さで角界の番付を駆け上がった。

体全体でぶちかます相撲スタイルで首のけがはいたしかたない。自ら決断し、引き際を決めたことに拍手を送りたい。格闘技は気持ち。その教えを受け継ぐ弟子の登場を期待する。【実藤健一】