関脇大の里(24=二所ノ関)が史上最速、所要9場所での大関昇進を「当確」させた。大関琴桜との結びの一番に、同体取り直しの末に寄り切って快勝。前日12日目は、前頭若隆景に初黒星を喫したが引きずらずに12勝1敗とした。これで「三役で3場所33勝」の大関昇進目安に到達。昭和以降、最速で大関に昇進した羽黒山、豊山、雅山の12場所を3場所更新することになる。出世の早さに髪の伸びが追いつかない、前代未聞の“ちょんまげ大関”が誕生する。14日目に勝てば2度目の優勝が決まる。
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取り直しの一番は、目の覚めるような快勝だった。大の里は、体当たりの立ち合いからすぐに右差し、左おっつけの得意の形となった。余力十分に一気に前に出て一方的に寄り切り。取組前まで1勝3敗と合口の良くなかった、今場所出場力士で最高位の琴桜を破った。大関と同等以上の力、連敗しない精神面の強さを示し、大関昇進目安に到達した。優勝争いで後続に2差をつけ、大関昇進の「当確」は揺るぎない状態だ。
最初の一番は、行司軍配は相手の方だった。「勝ちはないと思った。最悪は負け、良くても、もう一丁。気持ちを切らさずに待っていた」。初顔合わせから2連敗し、全44部屋で最も両国国技館から遠い、茨城・阿見町の部屋から、初めて出稽古したのが琴桜の佐渡ケ嶽部屋。効果てきめんで直後に琴桜から初白星、夏場所で初優勝した。番付を駆け上がるためには、同じ相手に何度も負けられない思いが出た行動だった。
新入幕の初場所を前に出かけた初詣では「三役に上がりたい」と、心の中で唱えていた。それが想像の上をゆく年内の大関昇進。小結の夏場所で12勝、関脇の名古屋場所で9勝。今場所12勝目で目安の33勝に到達した。二所ノ関部屋関係者は「次は大銀杏(おおいちょう)を結えると思う」と話しており、前代未聞の“ちょんまげ大関”は、来場所までの期間限定となり、一段と注目を集めそうだ。
入れ替わるようにしてこの日、大関在位30場所の貴景勝の引退が発表された。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が、19年初場所で引退前、最後に稽古で指名したのが、当時新関脇だった貴景勝。貴景勝は、大の里に2連敗のまま引退となったが「このままじゃ終われない」と、最後に特定の相手に対抗心を抱いたのが大の里だった。運命に導かれるように、脈々と思いを受け継いだ大の里が大関に昇進。「まだ場所は終わっていない。あと2番、集中して頑張る」。昇進前3場所のうち、2場所で優勝という前例のない好成績を手みやげに、堂々と次の番付に立つ。【高田文太】

