大相撲夏場所5日目の15日に、元小結北勝富士の引退会見が行われた。この記者会見の司会を務めていたのは、広報部の西岩親方(48=元関脇若の里)だ。
広報部に配属されて3年。引退会見はすべて、司会として立ち会ってきた。「いいことを言うなという場面もあれば、楽しく笑いが起きる力士もいる。人それぞれですが、引退する力士の人間性や現役時代にやってきたことが表れます。引退会見という人生の節目に立ち会って司会進行ができるのは光栄です」と話す。
司会として会見の場にいながら、涙腺が緩むこともある。近年では、「相撲人生を2回楽しめた」という横綱照ノ富士や、「横綱になることだけ、それだけを考えてきたんですけど、手をいっぱいに伸ばしたんですけど、届きませんでした」という大関貴景勝の言葉が特に印象に残っているという。
「いろんな会見を見てきましたが、家族の話になった時に涙を流す人は多い。人間性や人生が見え隠れしますね」と西岩親方。
自身の引退会見では、師匠が先に泣いた。元横綱隆の里の鳴戸親方が急逝し、部屋を継承した田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が師匠として同席していた。若の里は会見の冒頭「笑顔でやりましょう」と切り出していたにもかかわらず、もらい泣きした。
西岩親方は今の職務について「いい経験をさせてもらっています」と言う。先輩親方が進行役となって行われる引退会見。相撲界だからこその空間は、いつも味わい深い。【佐々木一郎】

