市川海老蔵(44)の「13代目市川團十郎白猿」襲名興行が11月7日から東京・歌舞伎座で始まります。14日から前売りチケットが発売され、15日からは親子共演の特別CMが放送されています。初日に向けて盛り上がっていくと思いますが、最近、襲名興行に関するいろいろな報道を見るようになりました。その1つが、銀座のクラブホステスへの性加害報道をきっかけに8月下旬から謹慎中の市川中車(56、香川照之)が襲名興行で復帰するのではないかというものです。

中車は20年に予定された襲名興行では「助六由縁江戸桜」に朝顔仙平役で出演するはずでした。しかし、コロナ禍で延期となった11月、12月の「助六」出演予定者に中車の名前はなく、12月の朝顔仙平役は市川猿弥に決まっています。その中、海老蔵が松竹に対し12月の興行に「出してやってくれないか」と申し出ているというのです。

報道の真偽は分かりませんが、確かに海老蔵と中車は深い関係にあります。中車の曾祖父にあたる初代市川猿之助(後の初代猿翁)、その弟の8代目中車はともに9代目市川團十郎の門弟でした。中車が歌舞伎界入りする前に海老蔵の主演映画「出口のない海」で共演したことがあり、歌舞伎界入りした後も「将軍江戸を去る」「夏祭浪花鑑」など歌舞伎の舞台でも何度か共演しています。

しかし、中車が襲名興行に出演することには疑問符が付きます。12月は8代目市川新之助(9)が最年少で挑む歌舞伎十八番の「毛抜」が上演されます。そこで中車が3カ月ぶりに活動再開となれば、初日の記事などで新之助の挑戦と中車の復帰が被ることになり、新之助の門出に水を差す形になりかねません。そして、中車には将来は「市川猿之助」になるだろう市川團子という息子がいます。中車が歌舞伎界入りしたのも、息子を「猿之助」にしたいという思いからでした。襲名興行で復帰すれば、歌舞伎界で何らかのしこりを残す可能性もあり、團子の今後を考えると、いいことはないでしょう。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

市川海老蔵(2021年12月撮影)
市川海老蔵(2021年12月撮影)