約50の劇団、演劇制作会社が加盟する「日本劇団協議会」が定期的に情報誌「join」を発行しています。その最新号では85人の演劇評論家、演劇記者などにアンケートした「私が選ぶベストワン2022」の結果が掲載されています。
作品、主演俳優、助演俳優、演出家、スタッフ、戯曲、団体などの項目ごとに、85人が思い思いに「ベストワン」を挙げていることもあって、何か1つに票が集中するということはあまりありません。13日に発表された菊田一夫演劇大賞を受賞した「ハリー・ポッターと呪いの子」でさえ、作品で最多の票を集めたものの、その数はわずか6票でした。
そんな中で、注目したのは助演俳優でした。私は「凍える」に出演した鈴木杏をベストワンとしましたが、ある記者が挙げた名前を見て、噴き出すとともに「それもありか」と妙に納得してしまいました。その名前は「三谷幸喜」です。
三谷さんは脚本家で、俳優ではありませんが、昨年上演された三谷さんが作・演出した舞台「ショウ・マスト・ゴー・オン」ではケガやコロナ感染などで休演者が続出しました。小林隆に始まって、シルビア・グラブ、浅野和之、そして主演の鈴木京香が休演し、その度に三谷さんが代役を見事に務めました。以前も代役を務めたことのある三谷さんですが、1つの公演で4回も代役というのは初めての経験。まさに八面六臂(ろっぴ)の大活躍で、ベストな助演俳優と言えるでしょう。
三谷さんは脚本を手がけた昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で向田邦子賞を受賞しました。来年1月には新作舞台「オデッサ」の上演が決まっています。「鎌倉殿の13人」にも登場した柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也が出演します。今度は作品、演出家、戯曲で三谷さんの名前が挙がってくるかもしれません。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)




