小学生で芽生えた淡い恋心は、親の転勤に翻弄(ほんろう)され、思い出を美化しながら時は残酷に流れていく。ナイーブな貴樹と優しい明里の18年に心を洗われる作品だった。新海誠監督の原点ともいえるアニメが、倍の長さの2時間1分で実写映画化された。
オリジナル作品時の新海監督と同年齢の奥山由之監督は、新海ワールドを映すように、これしかないという空の色や街の夕暮れをとらえている。撮影待機時間はさぞや長かったろう。
割り増し分で貴樹と明里のドラマ部分がていねいに肉付けされ、風景に溶け込んでしまったアニメ版より人物像が明確に浮かび上がる。大雪の中の電車乗り継ぎ旅のくだりは、中学生らしい不安がより深刻に伝わってきた。成年時の2人には松村北斗、高畑充希の巧者が配され、もどかしさの連続に、分かっていても心を揺さぶられる。
アニメの天体ショーばりの描写にはかなわないが、終盤、補うようにプラネタリウムのエピソードが加わる。館長役吉岡秀隆の童心を残した感じが作品にマッチしている。貴樹に片思いする花苗役、森七菜の表情がせつない。年がいもなくウルッときた。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)




