「設定が重そう」「中国映画だから」といった理由で敬遠してしまう人がいたら本当にもったいない。耳の聞こえない父親と、支える幼い娘の言葉を超えた強い絆と親子愛の物語。美談ではなく、ろう者が直面する雇用の壁、生活の苦しさ、元妻との親権争いなどがリアルに描かれる。
韓国の人気アイドルグループ「EXO」のメンバー・レイとしても活躍するチャン・イーシンが父シャオマー役を演じ、言葉にできない「叫び」を激しい手話と表情、全身を使って表現。「娘への愛だけはだれにも負けない」。アイドルの面影を一切消し去り、絞り出すような吐息に胸が締め付けられた。
父とともにろう者のコミュニティーで暮らす7歳の娘ムームー役は映画デビューとなる新星リー・ルオアン。耳の不自由な父を支えるコーダ(CODA=聞こえない親を持つ子ども)という難しい役どころを、大人顔負けの繊細な表情で演じきった。
父は愛ゆえに暴走し、闇ビジネスに加担し、娘を困難な状況に追い込む。父が裁かれる大法廷シーン。親は子を思い、子も親を思う。自然と琴線に触れて涙が止まらなかった。【松浦隆司】
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