ひたすら歩き続ける。歩くのをやめた瞬間、死ぬ。選ばれた50人の若者が時速4・8キロ以上で歩き続ける。速度が落ちれば警告。3度目で問答無用の射殺だ。装甲車と銃口に追い立てられ、休息も睡眠も許されないまま、「最後の1人になるまで歩く」死の競技が始まる。勝者だけが破格の賞金と願いを1つかなえる権利を獲得できる。

原作はデスゲームの始祖とも呼ばれる米作家スティーヴン・キングの小説「死のロングウォーク」(1979年)。半世紀近く前にキングが描いたのは、勝者だけが救われ、他は切り捨てられていく競争社会の終着点だ。いまの米国の分断とも重なる。

「スター・ウォーズ」ルーク役で知られるマーク・ハミルが死の競技に挑む若者たちを容赦なく殺す「少佐」を怪演。笑いながら観衆をあおり、死の競技を祭りに変える。その熱狂は残酷さへの感覚をまひさせていく。

「もう少しだけ一緒に歩こう」。死に直面しながら交わされるその一言が極限の中での友情を際立たせる。クライマックスは残酷で切ない。それでも心を揺さぶられるのは、人が人に手を伸ばそうとする一瞬が、確かに残されているからだろう。【松浦隆司】

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