クリストファー・ノーラン監督の作品は毎度イベントの趣がある。映画の原点にこだわり、今回もデジタル時代にあらがって、古代ギリシャの壮大な叙事詩をIMAXフィルムカメラで撮影した。劇場で見たくなる。

上下に広いIMAXの画角に合わせ、トロイの木馬もさお立ち状の造形だ。中に潜む兵士たちは立ったままで密集状態に耐える。こんな構図は見たことがない。

古代都市を再現した大掛かりなセットは「ベン・ハー」や「クレオパトラ」など、往年のハリウッド史劇をほうふつとさせ、ぜいたくな気分にさせられる。

群集シーンや神話世界の巨人の登場にはさすがにVFX技術を織り交ぜているが、接ぎ目を感じさせないていねいな編集で、迫力映像に没入感がある。

マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、そしてシャーリーズ・セロンとスケールにふさわしい配役が、夜の唯一の光源だった火のゆらめきを再現した陰影の中で生々しいドラマを繰り広げる。

トロイアでの勝利から、故郷イタケに帰還するまでの10年間。オデュッセウス(デイモン)の波乱の旅路がズンと胸に迫る2時間52分だ。【相原斎】

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