新型コロナウイルスの「第3波」が冬場に急拡大した要因の1つとして、気温と湿度が影響しているとも言われていますが、大阪府の吉村洋文知事(45)が急拡大には日本人の行動様式が影響しているのではないかとする「仮説」をとなえています。

「また吉村が適当なこと言うてるとか言われるかもしれないけど」。昨年8月のポビドンヨードを含むうがい薬の“騒動”を自虐ネタにしながらも、この1年、大阪のトップとしてコロナ対策に奔走し、肌感覚でつかんだ「仮説」を説明します。

「気を付けるべきタイミングっていうのが少し見えてきたなというふうに思っている。これは専門家の意見でもなんでもなく、僕の私見ですけど」と念を押した上で、「1年間、(コロナ対策を)やってきて、増えるときは一気にぐっと増えるんです。いくら少なく抑えてても、増えるときはぐっと増えます」。

年末年始に急拡大した第3波は、東京の感染者数が1日2000人を超え、大阪でも600人をオーバー。1月8日には国内の新規感染者が7800人超と過去最多を更新しました。

大阪府の分析によると、第3波の新規陽性が判明した人の推定感染日(いつ感染したか)は12月28、29日に集中していました。

府の分析をもとに吉村知事は「クリスマスから年末にかけて人が大きく動く時期だった」と振り返ります。

さらに日本人の行動様式に「視点」を移し、「第1波といわれる昨年4月上旬に政府の緊急事態宣言が発令されたときの感染のピークは昨年3月末といわれています。3月末に何があったか? これって時期で言うと、ちょうど卒業とか就職とかで人が大きく動くタイミングなんですよね」。 昨夏の第2波についても「新規感染者のピークは8月上旬だった。感染者ベースでいくと7月下旬が感染者ベースのピークだった。これってちょうど夏休みに入ったタイミングなんです」と力説します。

大阪府の専門家会議の座長を務める大阪大教授の朝野和典氏(感染制御学)は吉村知事の第3波の「仮説」について「おそらく日本人の生活様式にある忘年会、クリスマスなど人と人の接触の度合いが広がってくると、感染者数が増える。年末という生活習慣が感染症を起こしやすいシチュエーションが作ったのだと思っている」と分析します。 吉村知事は「日本人が動く文化的なものや、そういう行動形式と、この感染の急拡大というのはものすごくリンクしているんじゃないのかなと僕は思っています」と強調します。

その上で「第4波」への警戒を呼び掛けます。「3月中旬から4月の上旬は卒業、入学、就職などで大きく人が動くシーズン。卒業のお祝いの食事会とか、いろいろな行事もある。まさに大きく人が動くときのタイミングなので、かなり気をつけなければならないんじゃないのかなと思う」。

朝野教授も「人の出会いが増える3月に例年通りの生活習慣をすれば、おそらくもうひとつ山が乗ってくると考えている」と話します。日本人の行動様式の「視点」は、感染リスクに向き合うヒントになるかもしれません。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)