社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデ(55)が、世界的名画を独自の視点や構図でアレンジし、時の首相や旬の政治家をモデルにクスッと笑える風刺画に仕立てた「ザ・ニュースペーパー福本ヒデ個展」が8日まで、大阪・高槻阪急スクエア3階アートギャラリーで開催されています。
本物が大阪で公開され、人気を集めているフェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」をもじった「しんぞうが耳飾りの総理」も展示。少女を高市首相に見立て、真珠の代わりに耳元を飾るのは「(安倍)しんぞう氏」になっています。
赤と青を基調にした色使いは米国国旗を思わせます。安倍晋三元首相への敬意にも、高市首相と米国との近さを皮肉った作品にも見えます。福本は見る人によって褒め言葉にも風刺にも受け取れるように描いたといいます。東京展を訪れた閣僚からは「高市さんが喜ぶ」と評されたそうです。
風刺と聞くと、政治家の特徴を誇張し、毒が効いた絵を思い浮かべます。しかし福本は、人物を醜く描く昔ながらの手法とは距離を置きます。「本人にも堂々と見てもらえる」作品を目指し、ルッキズムや炎上にも気を配ります。鋭く刺すのではなく、笑いの中に小さなトゲを忍ばせる。それが福本流です。
片山さつき財務相をレオナルド・ダビンチの「モナリザ」に重ねた「モサリザ」は、特徴的な髪形とミステリアスなほほ笑みから生まれました。大阪らしい一作が「維新三尊像」です。吉村洋文氏と藤田文武氏の間にテレビ画面を置き、そこに橋下徹氏を思わせる影を描いています。維新と橋下氏の関係を知る大阪の来場者には、東京以上に意図が伝わるといいます。
ほかにも、ミレーの名画を「落ちた支持率を拾う」場面に置き換えた作品など、絵と題名を行き来することで皮肉が浮かび上がります。元の名画を知っていれば笑いは深まり、知らなくても政治家の表情やダジャレを楽しめます。
政治家の写真を見ながら忠実に写すのではありません。日々のニュースや新聞から自分の中に蓄積したイメージで筆を走らせ、その人物の心情まで絵に乗せます。朝に描き、仕事を終えた夜にも描く。ほぼ毎日続ける中で、コントとは異なる政治表現を育ててきました。
政治への怒りを正面からぶつければ、見る側は身構えます。ただ、名画とダジャレの衣をまとわせれば、笑った後に「これは何を皮肉っているのか」と考えたくなります。政治に文句を言いながら、どこか政治家への愛情もにじみます。
福本は大阪で開催中のフェルメールにひっかけ「本物もいいですが、ニセモノも見に来てください。こっちは空いていますから」と笑わせました。笑えるうちは、まだ政治をあきらめていない--。福本の風刺画を眺めながら、そんなことを思いました。
【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)




