星組2番手スター、紅ゆずるの好奇心は半端ではない。兵庫・宝塚大劇場で上演中のミュージカル「こうもり」では、そんな性格を生かし、トップスター北翔海莉(ほくしょう・かいり)との掛け合いで喜歌劇の名作を好演。ショー・スペクタキュラー「THE ENTERTAINER!」では、102期生初舞台のラインダンスを迎える応援歌を歌い、初心に戻るという。同劇場は25日まで。東京宝塚劇場は5月13日~6月19日。
子供のころから「半端ない」と言う好奇心があり、いたずら好きな性格。一方で、貴族ファッションも完璧に着こなす優雅なルックスで、しかも長身。紅は劇団有数の個性派スターだ。
「タカラジェンヌとして気品は保った上で、美しく見せるところは美しく、はじけるところは思いっきり」
傑作オペレッタをもとにした「こうもり」で、トップ北翔演じるファルケ博士と掛け合いを好演。セリフで、間合いで、アイコンタクトで、毎日、どこかにアドリブを入れ込んでいる。
「私だけが知らないアドリブもあるし、スリルもある。でも、そこは(北翔らに)信頼されているんだなって思って、うれしい」
芸達者同士の間合いと、バランス。その源は、新人時代から続く紅の好奇心にある。今公演は102期生の初舞台作。紅が新人へ応援歌を歌い、恒例の新入団生ラインダンスへと導く。
「初舞台の思い出は宝物。今でも(当時トップの)香寿たつきさんの声を覚えている。102期生の心にも自分の歌が残ると思うと、親心というか、自分自身も、初心に帰りながら…」
その初舞台で、紅は怒られてばかりだった。
「何もかもが新鮮で。大階段も『すごい!! 珍百景なみ!』とか(笑い)。セリが上がって、下がって、盆が回って…。もう、どうなってんの? って」
オーケストラ隊の配置場所「オケボックス」から、マイク置き場、さらには「花道から見た舞台はどう見えるんだろ?」などと、気になったら確かめに行き、「邪魔!」と怒られた。
「好奇心が半端なくって。でも、あのとき、動いておいてよかったなって」
当時の先輩スター、安蘭けいが朝、ヘッドセットマイクに何か話し掛けていた。後に紅が聞くと「スタッフさんにあいさつをしている」と教えられた。このマイクはトップをはじめ、主要キャストにしかない。紅が初めてそのマイクを手にしたとき、真っ先にスタッフにささやいた。「おはようございます。よろしくお願いします」。好奇心から得た情報で礼儀も学んだ。
「子供の頃から頭の中がファンタジー。願えばかなうとずっと思っていて。ピーターパンが大好きで、空を飛びたいと思えば、飛べると思っていた(笑い)。小学生になっても。陶器の子猫ちゃんが、明日になったら本物の猫に? って、ずっと祈っていたし」
今なお「ソリで空は飛ばなくても、サンタクロースはいるんじゃないか」と考える。特有の好奇心は、楽屋でも発揮。いたずらを仕掛けては楽しんでいる。
「毎公演何かやっていますけど、今は毎日、朝来た瞬間に、楽屋にあるディズニーの人形を誰かの化粧前に置く。カツラをかぶせてみたりして、次々に」
心は永遠の“少年”だ。趣味の歌舞伎鑑賞でも同じ。「舞台装置に興味があって、(歌舞伎公演の客席にある)音声ガイドを聞きながら、へえ~っ!! と思っています」と笑う。紅が“初心”を忘れることはなさそうだ。【村上久美子】
◆ミュージカル「こうもり」…こうもり博士の愉快な復讐劇… ヨハン・シュトラウス2世の傑作オペレッタ「こうもり」をもとにしたミュージカル。舞台は、19世紀後半のウィーン。ファルケ博士(北翔)は、親友のアイゼンシュタイン侯爵(紅)と共に、仮装舞踏会に出席。泥酔したファルケは、アイゼンシュタインにいたずらされ、親友に仕返しを考え、実行していく様をコミカルに描く。
◆ショー・スペクタキュラー「THE ENTERTAINER!」 ジャズ、クラシック、ポップスの名曲を現代風にアレンジしたショー。初舞台生恒例のラインダンス直前に、紅が応援歌をソロ歌唱する。
☆紅(くれない)ゆずる 8月17日、大阪市生まれ。02年「プラハの春」「LUCKY STAR!」で初舞台。08年「ザ・スカーレット・ピンパーネル」で新人公演初主演。11年「メイちゃんの執事」でバウホール初主演。14年「風と共に去りぬ」で全国ツアー初主演。身長173センチ。愛称は「さゆみ」「さゆちゃん」「ゆずるん」「べに子」。



