阪本順治監督(58)が23日、メガホンをとったオダギリジョー(41)主演映画「エルネスト」(10月6日公開)の公開を前に、東京・内幸町の日本プレスセンターで会見に出席した。

 キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと、ボリビアの日系人医学生フレディ前村の生涯を、実話に基づき映像化した。阪本監督は横浜国大在学中、新聞部に在籍し、学生運動のさなかだった。「ほとんど授業には出ず、新聞部にだけ通っていた。だから、自然とゲバラには興味を持った」。新作映画の題材探しの中で、フレディの存在を知り、映画化を決意したという。「フレディがどういうキャンパスライフを過ごしたかを描きたかった。『ドッカン、バリバリ(の戦闘シーン)』が少ないのは、予算が少なかったからではないです」と笑わせた。

 日本、キューバの合作映画で、日本人キャストはオダギリただ1人だった。あとは現地でオーディションをして決めた。過去に映像作品でゲバラを演じたキューバ人はおらず、選考は困難を極めたが、「『(現地スタッフが)そっくりさんを選ぼうとしてはダメ』と言ってくれて踏ん切りがついた」と裏話を明かした。

 昨年8月、広島でクランクイン。同9月からのキューバロケを前に、阪本監督は現地に10回渡り、取材やゲバラ家へのあいさつも行った。キューバ人の意外な気質にも触れ、「治安のいい国で、口での言い争いはあるけど、殴り合いのけんかはない国」と語った。この3年で米国との国交を回復するなど、キューバをめぐる情勢は激変したことに、同監督は「撮影の準備中にはオバマ大統領(当時)が、撮影中に安倍首相がキューバに来た。今はトランプ大統領になっている」と驚いていた。