フジテレビはフランス・カンヌで開催中の世界最大のコンテンツ見本市MIPCOMで、05年7月期の連続ドラマ「電車男」のハリウッドでリメークされることを発表した。アメリカ・グローバルロードテレビジョンが制作を開始する。コンテンツ事業室の久保田哲史氏が、プロデューサーの一人として参加する。日本の地上波放送局が制作したドラマが、ハリウッドでリメークされるのは初めて。

「電車男」は04年3月、インターネットの巨大掲示板で生まれた実話。「彼女いない歴=年齢」で、アニメとゲームを愛するオタク男性が、電車の中で酔っぱらいに絡まれている女性を、勇気を振り絞って助ける。オタク男性は彼女に一目ぼれしたものの、女性に免疫がありません。彼は、ハンドルネーム「電車男」と名乗り、掲示板に彼女との出会いのきっかけや彼女への誠実で切実な思いを書き込んでいく。彼女との仲がうまくいくには、どうすればいいのか悩んだ電話男は、掲示板の住人たちにアドバイスを求め、彼のつたなくもいちずな気持ちに共感したネット住人の応援を受けて、ついには彼女と結ばれる。

このネットから生まれた純愛物語が、04年年11月には「電車男」(中野独人著)として書籍化。フジテレビの連ドラは最高視聴率25.5%、全11話平均視聴率21.2%の大ヒットになった。06年7月には英語訳書籍「TrainMan」が発売された。

フジテレビの大多亮常務(59)は「日本独自のオタクをコミカルに、しかしながら一人の人間としての成長を真摯(しんし)に描いたフジテレビの大ヒットドラマ『電車男』が、ハリウッドというとてつもなく大きい舞台でリメークされるプロジェクトが始動したことをよろこばしく思います。インターネット黎明(れいめい)期の日本で起きた出来事をベースにした本作が、舞台を現代のネット社会に移すことで、どんな作品に生まれ変わるのか楽しみにしています」とコメントしている。

このプロジェクトは、マッチングイベント「J-CREATION:AFIRSTLOOKSHOWCASE」を通じて実現。「J-CREATION」にとっても、日本のIP(知的財産)をリメークするプロジェクトの第1号になる。

※「J-CREATION:AFIRSTLOOKSHOWCASE」はAmuseGroupUSAが主催するマッチングイベント。次世代の世界的なヒット作を生み出すビジネスチャンス創出の場として、毎年アメリカ・ロサンゼルスで開催される。ハリウッドのメジャースタジオ、TVネットワーク、制作会社エージェントなどを対象に日本の優れたエンターテインメント・コンテンツを紹介する。