赤木春恵さん、映画プロデューサーの黒沢満さんの葬儀、告別式で、2人をそれぞれ母のように、父のように慕っていた人たちからの弔辞が胸に響いた。

赤木さんの葬儀では、50年以上の親交がある女優大空真弓が弔辞を読んだ。

「ママのあったかい胸が大好きでした。おっぱい大きかったよね。文句が言える背中が大好きでした。ふくよかな手で優しくなぜてくれる手が大好きでした。ママの声が好きでした。ママのすべてが好きでした。ママのにおいが好きでした。ママに抱っこされることが好きでした」。

赤木さんは、周囲にママ、お母さんと呼ばれていたが、大空の呼ぶ「ママ」は、親しみ以上の「ママ」だった。

黒沢さんの葬儀では、俳優仲村トオルが弔辞を読んだ。自分の父親を亡くした次の年に、映画「ビー・バップ・ハイスクール」のオーディションで黒沢さんと会ったことで、父親代わりのような存在だったという。約11分間の長い弔辞だった。これまで出会ったたくさんの人々に触れ、その源流が黒沢さんだったと感謝した。「もし、来世というものがあるなら、また黒沢さんの手のひらの上で、すばらしい人たちに出会う旅をしたいです」。泣きっぱなしだったが、仲村の言葉は力強かった。

周囲の人によると、赤木さん、黒沢さんに共通するのは、底なしの面倒見の良さと周囲を明るくする気遣いだった。そんな人柄がよく分かる葬儀だった。