女優沢尻エリカ容疑者(33)が16日、合成麻薬MDMAを所持したとして、麻薬取締法違反の疑いで、警視庁組織対策5課に緊急逮捕された。「私のものに間違いありません」と容疑を認めている。

07年主演映画「クローズド・ノート」の初日舞台あいさつで、不機嫌に「別に」と発言して騒動に発展。その後もトラブルが相次ぎ、一時は「お騒がせ女優」と呼ばれたが、20年NHK「麒麟が来る」で大河ドラマに初出演するなど、最近は順調な女優活動を送っていた。

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最近、大物芸能人や著名人の薬物逮捕が相次いでいる。今年3月にはピエール瀧(52)が麻薬取締法違反容疑で(懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決)、5月には元KAT-TUN田口淳之介(33)が大麻取締法違反容疑で(懲役6月、執行猶予2年の有罪判決)摘発された。背景には常に不安を抱える芸能人特有の心理と、捜査当局の本気度もかいま見えてくる。

沢尻は12年、一部で大麻使用疑惑が報じられたことがあった。しかし約7年後の今回、薬物事案で逮捕されてしまった。元タレント田代まさし容疑者(63)も今月6日、覚せい剤取締法違反容疑で捕まり、薬物では5回目の逮捕となった。

薬物事情に詳しい芸能関係者は「捕まれば周囲に甚大な迷惑を掛けることが分かっていても、薬物をやってしまう。メディアが多様化する中、人気が落ちることへの不安を抱える人は多く、それを一時的にでも忘れたいという衝動が上回るのではないか。さらに、性行為の際に薬物を用いることで快楽も加わり、さらに“分かっちゃいるけどやめられない”のスパイラルになるのでは」と指摘した。

芸能界との“接点”を持つ、反社会的勢力や半グレとよばれる不良の存在も見え隠れする。捜査関係者は「半グレと一部芸能人は、夜の繁華街などで接触しやすい。芸能人が訪れ、半グレが関わる都内の一部飲食店では極秘に、半グレらを通じて薬物が取引されている例もあると聞く。こうしてクスリに染まっていくパターンがある」と話した。

今月6日には、元五輪スノーボード男子代表の国母和宏容疑者(31)が大麻取締法違反容疑で逮捕されるなど、有名人“摘発ラッシュ”状態になっている。同関係者は「来年に東京五輪を控え、捜査当局は薬物事案の取り締まりに本気になっている。今後も年末にかけ芸能人の薬物摘発がある可能性はある」と話した。

◆沢尻(さわじり)エリカ 1986年(昭61)4月8日、東京都生まれ。父は日本人で母はフランス人。モデル活動を経て03年フジテレビ系「ホットマン」で連ドラ初出演。05年映画「パッチギ!」で新人賞や女優賞を多数獲得。ドラマは05年「1リットルの涙」、14年「ファースト・クラス」、映画は12年「へルタースケルター」、18年「猫は抱くもの」などで主演。09年にクリエーター高城剛氏と結婚、13年に離婚。