今年3月に宝塚歌劇団に入団した106期生39人が25日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」「ピガール狂騒曲」で、5カ月遅れの初舞台を踏んだ。

前日24日には最終の通し稽古が行われ、華世京(かせ・きょう)湖春ひめ花(こはる・ひめか)和真あさ乃(かずま・あさの)鳳城のあん(ほうじょう・のあん)の成績上位4人が取材に応じた。あこがれの本拠地に立ち「本当に幸せ」「奇跡」などと感極まった様子だった。

106期生は3月2日に予科、本科と2年学んだ宝塚音楽学校を卒業。同日、劇団に入り、同期全員で最初で最後の舞台、ラインダンスの稽古に備えた。

当初は4月24日に初舞台予定も、稽古途中で、新型コロナウイルスの感染拡大により上演中止が決まった。稽古も中断し、それぞれが自宅などで振りを覚え、オンラインなどで連絡を取り合い、完成のイメージを膨らませてきた。

華世は「自粛期間はずっと、脳内で宝塚大劇場の舞台に立つシミュレーションをしていた。こうして大劇場の舞台に立ち、本当に幸せでした」。舞台出演の人数制限がある中で、39人そろって初舞台を踏み、鳳城は「(自粛中は体調管理で)体作りなどをし、初日までくることができて、全員が欠けることなく舞台を踏めることは本当に奇跡」と感謝した。

自粛中、すでにラインダンスの振り付けは伝えられていたため、39人は直接会えなくても、連絡を取り合い、場面ごとのテーマ確認や振りの意味などを個々で考えてきたという。

和真は「同期生全員、1人1人が考えて、行動に移せたので、団結力ができたと思います」。もともと結束力が特長だった106期だけに、鳳城は「自粛中は踊れない分、考えをシェアしあい、自粛明けに備えてきました」と胸を張った。

あこがれ続けた大劇場の舞台には「スポットライトがまぶしくて…『キラキラしてる』印象が強かったです」と華世。今年のラインダンスは約4分。ウエーブなど、多様なフォーメーションがあり、最後は、全員で銀橋を通って退く。

和真は「前の人の肩に手をのせて、前に行く振りで、これから5組に分かれてしまうのですが、みんなでいい舞台を作ろうと進む感じ」。4人は、まぶしい世界に立った幸せをかみしめたと声をそろえた。

また、通常は正装の羽織はかまで登壇する口上も、今年は和物レビューの中での登場とあって、宝塚の象徴である「すみれ色」の和装での出演となった。

華世は「初めて袖を通したときは『あ、すてきだな』と、うれしい気持ちでした」。娘役の湖春は「髪形もいつもより豪華なカツラを作っていただき」と感動。組長の光月るうに「ひな鳥」と紹介されたことに、和真は「初舞台生らしく感謝の気持ちをお客様に伝えたい」と話していた。

公演は11月1日まで。