クリスマスが終わると、世の中はお正月モードに一変する。百貨店は25日の閉店直後から、ショーウインドーや店内の飾り付けを一気に替える。BGMも「サンタが街にやってくる」から、もういくつ寝ると…の「お正月」に。年末になると、日本人の切り替えの早さ、順応性に驚かされる。
2023年はうさぎ年である。西暦を、古代中国から伝来した十二支(干支=えと)で言うのも、日本ならではの和洋折衷である。
ところで、童謡や唱歌を中心にウサギにちなんだ音楽は数多い。誰もがすぐに思い付くのは「もしもしカメよ」の「うさぎとかめ」だろう。イソップ童話に沿ったもので、1901年(明34)に「幼年唱歌 二編上巻」で発表された。
日本の歌百選に選ばれている「故郷(ふるさと)」にも、ウサギが登場する。1番の兎(うさぎ)追いしかの山、である。「ウサギ美味(おい)し」と勘違いしている人もいるらしい。ちなみに「兎追いし」の意味は、故郷の山でウサギを追い掛けて遊んだ、懐かしい思い出と解釈されそうだが、実は違うという。この曲は1914年(大3)に発行された「尋常小学唱歌」に掲載された。当時、野ウサギは貴重な食用でもあった。遊んでいたのではなく、生活のために追っていたのである。
この他、十五夜の月を見て跳ねる「うさぎ」。軽快なメロディーの「うさぎのダンス」。耳を切られてしまう「あわて床屋」。教訓を含んだストーリーの「待ちぼうけ」などがある。
現代では「碧いうさぎ」(酒井法子)が大ヒットした。日本テレビ系ドラマ「星の金貨」(95年)の主題歌で、耳と口が不自由な孤児を酒井が熱演した。初回の視聴率が7%台だったのに、最終回は3倍以上の約24%にまで跳ね上がった。貧しい少女の慈愛を描いたグリム童話「星の銀貨」をモチーフとしたドラマで、主題歌もそうしたイメージで制作されたという。
お正月は初夢も楽しみの1つだ。初夢で縁起がいいとされるのは「一富士二鷹三茄子(いちふじ・にたか・さんなすび)」。富士は「不死」「無事」の掛け言葉で、不老長寿、無病息災、家内安全を意味するとされている。鷹は「高い」で立身出世を、茄子は「事を成す」で成功の意味と、実がよくなるので子孫繁栄の意味も込められている。
「一富士…」には続きがある。「四扇五煙草六座頭(しおうぎ・ごたばこ・ろくざとう)」である。扇は「末広がり」で商売繁盛・子孫繁栄。煙草は「煙が立ち上る」ことから運気上昇。座頭とは琵琶法師(楽器の琵琶を町中で弾く僧)のこと。僧は一般的に「毛がない」ので、そこから「けがない」で家内安全・無病息災の意味となる。
ちなみに初夢はいつ見るのか。諸説あるが、元旦から2日にかけて見た夢を指すのが一般的だ。「一富士二鷹三茄子」なんて夢で見るわけないと思っていたが、理由を知ると、ぜひ見たくなる。【笹森文彦】




