脚本家三谷幸喜氏(61)が4日、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で第41回向田邦子賞を受賞し、都内で喜びを語った。

向田邦子作品の大ファンというだけに「こんないただいてうれしい賞はない」と感激。同席した池端俊策、大石静、岡田惠和、井上由美子、坂元裕二というそうそうたる審査員各氏から「なぜまだ受賞していないのか謎だった」と口々に祝福され「こんなにたくさんの脚本家が並んでいるのを初めて見た。かなり威圧感がある」「気恥ずかしいといいますか、こうやって並ぶと誰が受賞者か分からない」と笑わせた。

過去に、向田賞を辞退したことがあると明かした。尊敬する向田さんの賞であり、第1回受賞者が尊敬する市川森一氏だったことで「そんな賞をこんな若輩者の自分がもらっていいのかと真剣に考えまして。もらったら人間がダメになるんじゃないかと」。続けて「そのあとまったく音沙汰がなくなって、あの時もらっておけばよかったとずっと後悔していた。今いただければ、人間ダメになっても別にいいやと、ありがたく頂戴することにした」。

「鎌倉殿の13人」には、向田作品のテイストが盛り込まれているという。「書くにあたって、向田邦子さんの台本を何度も読み返しました。『寺内貫太郎一家』のあのテイストをなんとか大河に入れたいなと思って読みましたし、『阿修羅のごとく』も読み返した。それが蓄積になっている」。執筆時は、パソコンの前に向田さんの本、「仁義なき戦い」の台本、「ゴッドファーザー」の原作本を置き「詰まったら読んでイメージをいただいて書いた」とした。

最終選考に残った3作の中から圧倒的な支持を得ての受賞。脚本家としての自信について聞かれると「自分がどこかに到達したなんて思っていないし、毎回四苦八苦して書いている。まだ1作も代表作だと言えるものもないですし、こうやって向田賞いただきましたけど、自分の作品が向田さんの作品を超えるわけないし、並ぶとすら思っていない。まだまだこれから勉強していいものを書いていきたい」と話した。

大河ドラマへのさらなる意欲も語った。「中島丈博先生が4本書いてトップにいる。僕があと2本書けば超えられるので、そこまでいきたいなと思っています」と笑顔で話した。

◆受賞理由 鎌倉時代初期の北条一族に華々しいヒーローはいない。歴史上に名はあるが顔は見えない。「鎌倉殿の13人」の三谷幸喜氏は、これらフツーの人々に個性ある表情と現代に通じる軽快な言葉を与え、北条義時をはじめ、その一族の人間くさい複雑な心理を見事に描いて、150年に及ぶ時代の礎を築くプロセスを喝破した。その手腕はさすがというほかない。