女優・歌手の田村芽実(25)が脚本・演出・出演の3役を務めた単独ライブ「私のもとへ還っておいで 田村芽実一人芝居コンサート」のBlu-ray(DVD+CD)が22日、発売される。昨年10月21日に1日限りで開催された約4年ぶりの単独ライブを収録。24日にはBlue-ray発売イベントが昼夜2部開催で東京・白金高輪SELENE b2で行われる。また今秋開始のNHK連続テレビ小説「おむすび」に柚木理沙(リサポン)役として出演が決定。このほど、Blu-ray発売とNHK朝ドラ出演にあたり、日刊スポーツへ意気込みを語った。
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昨年開催した田村にとって4年ぶりのソロコンサートは、ひと味もふた味も違った。異例とも言える脚本、演出、出演の3役を1人で意欲的にこなした。
「普通のコンサートをやる予定だったんですけど、それだけじゃ面白くないと。新たに違った表現を探した時に、ミュージカル女優として活動させて頂いているので、お芝居を絡められたらいいなと思って。ライブMCの脚本の延長で、脚本を仕上げました」
構想を約1週間で練り上げ、脚本はほぼ1日で一気に書き上げた。
「脚本を書く前に、どうしたらライブの中でのお芝居が成立するのかを考えて。最終的にショーパブで働く女性が、ステージで歌い、楽屋に戻ると本音を話す、というような設定になりました。お芝居でもないし、コンサートでもない。新たなものをお届けしたいと思いました。ライブではありながら歌とお芝居を両立させたい。そのシチュエーションや構成を考えるのに一番時間がかかったと思います」
1人で全てを作ったからこそ、分かったことがあった。
「大変なこともありましたが、表現する上ではメリットしかありませんでした。お芝居をする時は、脚本家さんと演出家さんがいて、その方々の想像する世界を体現することを大切にしています。しかし他人の考えていることを完全に理解することは難しいです。そのため、テーブルワークといって台本の読解をする時間があったり、演出家の方や役者さん同士でディスカッションをする機会をいただけたりすることがありますし、それはとても楽しい作業ですが、くみ取るのは大変です。今回は、自分で製作した作品だったので、全ては自分の頭の中にある。それをただ表現するだけ。簡単! って思っていたのですが、実際は想像以上に大変でしたね。勉強になりました。自分の書いた脚本って、思ったよりもっと深かったんだなと。また再演した時にアップデートしていける作品になったと思います」
アイドルとして芸能界デビュー。25歳としての立ち位置、現在地を両足で感じ取っていた。そして脚本に込めた思いを明かした。
「込めた思いはいろいろあります。開催した時期が、私が25歳の誕生日をもう少しで迎えるっていうタイミングだったんです。23歳くらいから老いを感じたって言ったら、ちょっとまだ早いだろうと言われるかもしれないですが、中学生からこの世界にいるので正直、老いは感じるんです。体力がなくなったり、前はストレッチしなくても舞台に上がれたりしましたが、最近はちょっとそれが難しい。あとは単純に、あれっ? 自分ってここにしわの予備軍みたいなのあるな、とか。そういうのをやっぱり思うんです。女性ってこういった、見られる仕事をしていると、年齢っていうタイムリミットがあるような気がすごくしていて。自分が25歳になった時、歳を重ねることへの憧れも持ちつつ若さが奪われていく自分に何が残るだろうと考えていた時期でもありましたね。それは常に考えていますが…」
心の変化もあった。
「私が一昨年に体調をちょっと崩したんです。その時に、本当に仕事を自分が続けられるかな? みたいな時期があって。今は楽しく仕事を続けられているんですけど、自分自身が本当にこの仕事を続けていいんだろうかとか、続けられるんだろうかとか。東京っていう、人がたくさんいて、みんなが周りも見ずに立ち止まらずに、ただ早く歩き進んでいるこの街の中で、自分は自分として存在できるのかなっていうのをすごく感じることがあって。その時に支えてくれたのが、周りにいる家族とか、大切な人たちでした。自分にとって大切なものが、何か気付けました。私が演じた女性も、自分が何かになりたい、何者かになりたいって何かを追いかけているけれど、本当に大事なもののかけらみたいなものに気付けたらいいなと思って脚本を書きました」
本番当日を迎えるまで、苦難の道のりだった。
「脚本、演出、出演を1人でする経験が初めてだったので、何が必要なのか、何を見てもらった方がいいのかっていうのが、私自身も周りの人も分からないような状態でスタートしました。ギリギリまでいろいろな調整をして、奇跡的に幕が上がって、本当に素晴らしい作品をお届けすることができました」
チケットが完売している中、バンドのメンバーと音楽と芝居を合わせることで、不安をはねのけた。
「本当に不安だったんですけど、バンドの皆さんがとても協力的で、音楽のセクションではないところのお芝居や、アドリブにも付き合っていただいて。自分で作ったものだけど、みんなの協力がないと作品にはならない。スタッフの皆さんの助けがあり3日前にようやく、うまくいくかもしれないと実感しました」
100人いれば、100通りの解釈が存在する。
「こういう風に感じ取ってというよりも、もう自由に感じ取っていただければと思います。スタッフの皆さんがいてくださったから、あんなに素晴らしい作品ができたなと思っています」
脚本、演出、出演の1人3役はあくまで、1つの形にしか過ぎない。今後の方向性についても語った。
「自分の中で、今を“いい意味で”見失っている時期で。ちょっと前までは、自分の行き場所は『ミュージカルだ!』と思っていたんです。ありがたいことに、ミュージカルの舞台に立たせて頂くという夢がかなって、そして、ちょっとずつ舞台以外のお仕事も頂くようになって、そこで自分の中で新境地を開くことができたなと思っていて」
可能性は無限大だ。
「今までこうなりたいって思っていたのは、ミュージカル俳優さんを目標にしていたし、こんな作品に出たいというのもミュージカルだったので。でも今は、新しい世界にも挑戦させて頂き、これから私は何を目指していこうかなっていう、生まれて初めて、目標とか目的地を作らずに走り続けている状態なんです」
あえてスタイルを決めないのが、“田村芽実スタイル”となる。
「私は女優業だけじゃなく、執筆にも興味があって。そういった部分では、物書きとしての刺激にはなったと思うし、成長できた。そういった作品をつくることができたからこそ、女優としても成長できました。方向性を決めないことが、一番自分の可能性を広げることだと思っています」
映像作品の出来には自信があると、胸を張って言える。
「舞台とかコンサートのDVDって絶対に生の方がいいと思ってしまう。生の盛り上がりに勝てるものはないと思うので。でも今回、映像の編集をスタッフの皆さんとしている中で、もちろんコンサートも良かったと思いますが、映像は映像で全く別の角度からお届けできたと思うんです。というのは、形態が不思議だったので。ミュージカルでもコンサートでもない作品なので、作品の世界観が近くなったり遠くなったりするんです。最前列で見ていただくからこそ届けられるものもあれば、1番後ろの席だからこそ受け取ってもらえる瞬間もあると思いました。編集作業は時間をかけて丁寧に行いました。分かりやすく、熱く、優しく、強く、作品をディスクの中に収められたと思います。ぜひ楽しんで見てもらいたいし、自信作です」
今秋開始のNHK連続テレビ小説「おむすび」に柚木理沙(リサポン)役として出演。すでに撮影は始まっている。
「こんな作品は過去に絶対なかったよねっていうぐらい攻めた作品です。スタッフさんたちがすごい攻めの姿勢で、そこに乗っかって我々も一生懸命やるだけです。役柄的には、ギャル連合のチームの1人でもあり、橋本環奈ちゃん演じる主人公のクラスメートでもあります。学校では地味な学生を演じていて、そうじゃない場所では派手なギャルを演じるんです。そういった演じ分けを楽しんでもらえればなと思います」
◆「私のもとへ還っておいで 田村芽実一人芝居コンサート」 舞台は都会の端っこにあるショーパブ。役者はショーパブで歌い踊る女性(田村芽実)ただ1人。客のリクエストに
応じてさまざまな楽曲を披露する歌手がその役どころで、「本能」(椎名林檎)、「お祭りマンボ」(美空ひばり)、「ラムのラブソング」(うる星やつらのテーマ)など、コスプレ歌謡ショーという趣で楽しませる。一方、カーテン1枚で隔てられた楽屋では、「Dream Girls」(ビヨンセ)を歌唱した後、「英語の歌は意味わからない」と悪態をついたり、愚痴やため息ばかりの裏側を演じ、衣装を大急ぎで着替える様子もそのまま見せるという大胆な演出に挑戦した。舞台の中盤からは、今日が25歳の誕生日という歌手の身に起こる出来事が大きく展開し、後半にはその伏線が回収される。彼女の感情が解き放たれ、「私のもとへ還っておいで」というタイトルの意味も明らかになる。
◆Blue-ray発売イベント「私のもとへ還っておいで」上映会&コンサート
▼開催日時 2024年5月24日(金)昼公演は開場午後1時15分、開演午後2時。夜公演は開午後5時45分、開演午後6時30分
▼会場 SELENE b2(東京都港区三田5丁目2-30 SELENE STUDIO)
◆田村芽実(たむら・めいみ)1998年(平10)10月30日生まれ、群馬伊勢崎市出身。2011年、スマイレージ(後にアンジュルム)の中心メンバーとしてデビュー。16年に卒業後、ミュージカル女優へ。17年には舞台「minako-太陽になった歌姫-」で主演の本田美奈子.役を演じた。舞台にとどまらず女優・歌手として精力的に活動中。



