26日に都内で行われた、演歌歌手里野鈴妹(すずめ=23)のデビュー・コンベンション「~はばたけ!すずめ~」に取材に行って来た。里野は9月4日に「バカ酒場」(作詞・菅麻貴子、作曲・水森英夫)でデビューする。デビュー曲とカップリング曲の「北吹雪」(作詩・さくらちさと、作曲・水森英夫)など3曲を歌った。

里野は昨年1月の「クラウン新人オーディション」で、準グランプリを受賞。同7月に上京して、デビュー曲の作者でもある作曲家・水森英夫氏(74)のレッスンを受けてきた。デビュー・コンベンションというのは、一般のファンではなく、ラジオ、テレビなどの番組関係者を呼んでお披露目する場だ。それだけに、見る目も厳しい。

その中で、恩師である水森氏が、里野のデビューへ向けての戦略を明かしてくれた。氷川きよし(46)山内惠介(41)など、当代きっての売れっ子演歌歌手の育ての親である水森氏は、出合った頃の里野を「荒っぽかった」と振り返った。そして「大きな声が出なければスターにはなれない。聞く人を歌で説得できない。声が出るようになってきたので、歌いやすいメロディーを作ってやろうと思った」と説明した。

上京した里野は、毎週水曜日と土曜日に水森氏のレッスンを受けたという。水森氏は「教えるのは週に2回だけ。毎日やるのは自分自身。考えるのは自分だ。10カ月の間にできるようにならなきゃダメ」。声が出るようになって里野は、デビューにこぎ着けた。

里野のデビュー曲を作るに当たって、水森氏は「どんな曲を作れば、お客さんが興味を持ってくれるかを考えた」という。そこで思い浮かんだ曲が、1999年(平11)の大泉逸郎「孫」(作詞・荒木良治、作曲・大泉逸郎)と、00年の自身の作品でもある氷川きよし「箱根八里の半次郎」(作詞・松井由利夫、作曲・水森英夫)の2曲だった。

「昭和はいろいろな演歌のヒット曲があったが、平成・令和で誰もが知っているような曲は、この2曲。タブーを歌っている。『孫』は美人歌手が色恋を歌うことが多かった中で孫、そして『箱根八里-』は、若者がピアスをして股旅ものを歌った」と説明した。

そして「里野にもタブーを歌わせようと思った」。それが「バカ酒場」というデビュー曲のタイトルだ。上から読んでも、下から読んでも「ばかさかば」という回文になっている。「歌の内容を考えて、作詞の菅麻貴子さんにお願いして、何作も書いてもらいました。男のかわいらしさの歌ができました。もう1つは叙情演歌の『北吹雪』です」とタブーと王道の組み合わせであると話した。

「バカ酒場」について「大きく歌うのがコツ。うまい人はたくさんいる」と里野にエールを送った。そして「この新人歌手を育ててください。ぜひ、よろしく」と頭を下げた。

食べることが大好きという里野は「水森先生からは『腹6分目にしろ』って怒られています(笑い)。最初は蚊の鳴くような声でしたが『大きな声で歌え』という教えもできるようになりました。私の歌と笑顔で、世界中の人を笑顔にしたい」と誓った。

プロの世界に飛び立つ、新人演歌歌手・里野鈴妹が大きく羽ばたくのを期待したい。【小谷野俊哉】