参議院議員を3期務めた「ヒゲの隊長」こと佐藤正久氏(65)が、コメンテーターに転身した。陸上自衛官時代はイラク先遣隊長を務め、国会議員になってからもSNSで発信を続けてきた佐藤氏に聞いた。【小谷野俊哉】

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高市早苗首相が台湾有事について、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態になり得る」と発言したことが波紋を呼んでいる。当事者でもある自衛官だった佐藤氏は、参院議員時代にその現状を発信し続けた。

「現場の不安な部分を、法律で正さなければ大変なことになるという思いがありました。日本の自衛隊っていうのは、警察が大きくなった組織なんです。だから軍隊じゃない。他の国は軍なんですけどね。両方とも、自衛隊も軍隊も自衛権に基づいて作られた組織なんですね。それで国連の研修とかで一緒になると、自衛隊は警察の大きくなった組織だから、武器の使用についても『○○することができる』と規定するんですす。他の国の軍隊は『○○してはいけない』と。いけないということは、他の国はダメなもの以外は全部いいんです。で、日本の場合は、できることしかできない」

複雑な状況になると、自衛隊は答えが出るのが遅かった。

「警察と同じような組織だから『これはできますね』『はい、できます』まではいいんです。だけど『じゃあ、これはどうなの』って言うと『分からない』となってします。他の国は『これはダメではない』となれば、全部やっていいんです。簡単なんです。日本の場合は、あることをやるために現場から、いちいち確認しないと物事が進まない。PKOとかだと、そういう面で他の国からするとお荷物みたいに見られてしまっていたんです。だからそういうことを徐々に改善して、世の中に発信していくということをやっていました」

高市首相誕生で、自衛隊の改革もスピードアップすると期待している。

「これから方針を進めていく中で、自衛隊もそうだし、憲法改正とかを発信していくことも大切だと思います。あと私の故郷である福島の問題。福島第1原発を抱えているわけですから、国の力でやらなくちゃいけない。そう考えると、政策を考えたり実現するために、いろいろな意見を発信していかなくてはいけない」

政策、情報の発信の方法も、時代とともに多岐にわたっている。

「まず講演という形で国民にいろんな状況を、外交問題とか、地域の課題を発信するというやり方がある。あるいはテレビやYouTube等で、どんどん発信していくやり方もある。テレビだってバラエティーもあるし、情報番組もある。その境目も難しい。議員時代に『たかじんのそこまで言って委員会』に出たことはありますけどね。あとラジオですね」

過去には10冊以上の著書を出版。X(旧ツイッター)、YouTubeも駆使している。

「今はSNSも使って、どんどん発信していかないとね。昔はね、国会の代表質問を受けてから発言したりっていうのがあった。だけど、もうそういう時代じゃなくなった。議員じゃなくなって、見えやすくなったこともありますからね。そういう意味じゃ、自己責任もある。今まで発信できなかったものが発信できるようになった。事態の変化に応じて、自分の意見をいち早く届けることが大切だと思っています」

(続く)

◆佐藤正久(さとう・まさひさ)1960年(昭35)10月23日、福島市生まれ。83年に防衛大を卒業して陸上自演隊入隊。96年に国連PKOゴラン高原派遣輸送隊長。04年イラク先遣隊長、復興業務支援隊長。07~25年に参議院議員。血液型O。