11月24日に実写日本映画興行収入(興収)記録を22年ぶりに更新し、181億を突破した「国宝」(李相日監督)の「大晦日特別上映会」が31日、都内の歌舞伎座で行われた。

渡辺謙(66)が演じた方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎の妻で、横浜流星(29)が演じた大垣俊介の母幸子を演じた寺島しのぶ(53)は、自身、歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎(83)の長女だけに「東宝の映画が、まさか師走の31日の、松竹管轄の場で上映できる、この奇跡が、私が生きている間に実現できたことは一生、忘れない。相当の爪痕を残した作品に出させていただき、感激」と感無量の表情を浮かべた。

「国宝」は作家・吉田修一氏(57)の同名小説の映画化作品。主演の吉沢亮(31)と少年期役の黒川想矢(16)が喜久雄の50年の人生を演じた。抗争で父を亡くした喜久雄を引き取る上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎の実の息子・大垣俊介を横浜、少年期役の越山敬達(16)が演じた。

歌舞伎の大御所・吾妻千五郎役で出演もした歌舞伎俳優の中村鴈治郎(66)と日本舞踊家の谷口裕和氏(48)から、吉沢と横浜が1年半、歌舞伎の指導を受けたことも話題を呼んだ。初日から11月24日までの公開172日間で興行収入(興収)173億7739万4500円、動員1231万1553人を記録。03年「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(本広克行監督)が22年、守った173億5000万円の実写日本映画興収記録を22年ぶりに更新した。

寺島は「撮影は李監督ですから過酷なんですよね。私は、そんなに出ていないですけど、吉沢君、竜星君が踊ってる時、李さんが来て『歌舞伎役者に見えますかね?』と言う。見えるわけないでしょ…と」と、李相日監督(51)から問いかけられた言葉を明かした。そして「とにかく、監督の執念を感じて、あぜんとした。鴈治郎兄さんもプレッシャーがあったと思う。その執念が実ったわけですから…また、出させて頂きたい」と感慨を口にした。

吉沢は、李監督の執念について聞かれると「執念しか、なかったです。何だろうな…それが、我々のことを信じてくださっているからこその『もう1回』。何で『もう1回』か分からないけど、やらせて頂ける、。気付くまでやらせて頂ける厳しさ…愛情を感じた」と振り返った。横浜も「こんなにも信じ、愛情を持ってやってくださる現場はないんですよ」と感謝。李監督は「何か、自分の弔辞を聞いているみたいです」と笑った。

鴈治郎は「しのぶさんが言った監督の執念…プレッシャーは間違いなくありました」と撮影を振り返った。その上で「こちらがへこんだら…皆さん、諦めていない。さじを投げるわけに行かない。せめぎ合い…監督が一番、分かってくれた。ヒットの後のフォローに感謝の思いがあった」と感謝した。吉沢は「まず、分かりやすく外面を説明し、習得できるようなことを試行錯誤してくださった。本番も1カット、1カット、見てくれ、衣装を直した。技術はもちろん、メンタルも支えられた」と感謝した。