今回からスタートした映画祭特集プログラム「カリナリープログラム:食の記憶」で上映される「私たちが麺処まろに通うまでに至った件」(小山巧監督)をプロデュースした、齊藤工(斎藤工=45)が登壇。「目と舌で映画を味わって欲しい」とアピールした。

「私たちが麺処まろに通うまでに至った件」は、齊藤が10年以上、親交がある俳優の朝比奈寛(30)が、コロナ禍に渋谷で始めたラーメン店「麺処まろ」でラーメンを食べたことが、きっかけとなった。「彼がコロナ禍に急にラーメンに向き合った。冷やかし半分にいただいた一口目で、彼が今までしてきた、どんな表現よりも人間性、誠実さ、向かい方が全部、伝わってきた気がして。表現として俳優業と対立すべきじゃないと感じ、これは映画にすべきだと思った」と製作の経緯を説明。その上で「ラーメンの映画を見た後に、ラーメンを食べていただく。目と、舌と心で味わっていただく上映に、短編映画の可能性を感じた」と熱く語った。

映画は「麺処まろ」をモチーフとした劇映画となった。中学時代にコロナ禍で息苦しい青春時代を過ごした少女たちが、閉ざされた日々の中でも小さな光を見出し、友情を紡いで卒業後、1つの約束を果たすためにラーメン屋に集う物語。

朝比奈は、俳優とラーメン店主の、表現の共通点を聞かれ「アンサーか分からないですけど、飲食と俳優業は、いかに準備ができるか」と即答。「人の見えないところで陰ながら努力と言うと、おこがましいですが、どれだけ積み重ねられるか。ラーメンはスープの味、俳優は最高のパフォーマンスを出すのに、地味な作業が実は1番、肝になる」と答えた。その上で「(店に)週で100名くらいの方が、ありがたいことに来ていただける。皆さん、個性を持っていて演じる上で人間観察の引き出しを日々、蓄えられるように意識している」とラーメン店主を俳優業に生かすべく取り組んでいると強調。今作の演技については「僕も境界線は分からないところがありましたが、一ラーメン屋の店主の振る舞いをしたつもりです」と語った。

齊藤は、今後について「実話ベースで(実在の店に)いらっしゃる方を落とし込んだ脚本はできている。見た後に食べる部門の未来を感じております」と口にした。その上で「どちらが良い、悪いはないけれど、短編映画とSNS動画のすみ分けは、あるんじゃないかと思う。クラシックな日本映画を見直し、軸となるのは、この作品では、朝比奈寛がラーメンと向き合った日々。蓄積が演じるを超えた存在として映っている。その軸を実際の物語の中で広げて、長編映画として海外に広げていけたら。彼がラーメンを振る舞う形で世界に広げたい」と意気込んだ。