テレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)の大越健介キャスターが30日までに自身の公式ブログ「大越健介の報ステ後記」を更新。戦争犯罪などを追及する国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長(70)が米トランプ政権から制裁の対象とされた件をめぐり、高市早苗首相の対応などへの思いをつづった。

大越氏は22日に「モノクロの季節」という題でブログを更新。8月には広島と長崎に原爆が投下された日と、終戦の日がくることなどに冒頭からふれた。そして「僕たちはこれらの日、原爆のきのこ雲が立ち上がる光景を、天皇のお言葉に首を垂れる市井の人々の姿を、モノクロの映像で見る。『戦争をしてはならない』と言葉にすることも大事だが、映像が物語る戦争の悲惨さはその比ではない。ましてや、現実にあの悲劇を味わった人たちはどのような思いでこの季節を迎えるのだろう」などと書いた。

そして生前に壮絶な空襲体験を語っていた女優岸惠子さんが93歳で死去したことにふれ「戦争体験者がどんどんこの世を去っていく。戦争を知らない世代が戦争を語り継がなければならない時代。その責務を負うべき自分はどうだったか」などと続けた。

そして大越氏はトランプ政権が赤根所長を制裁対象に加えると発表した件に言及。「民主主義国家の盟主たるアメリカの大統領が、戦後築き上げてきた国際秩序を公然と踏みにじる」とし、当初この件について19日に高市首相が出したコメントについて「この一件に対する高市首相のコメントは無味乾燥だ。『大変、残念に思っております。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応してまいります』。『残念』という感想以外、ほとんど何も言っていないに等しい。法の支配という、戦後民主主義を貫いてきた大切な骨格を揺るがす行為である。座視していいはずがない」と指摘(※大越氏のこのブログは8月22日に投稿)。

そして「政府の立場が理解できないわけではない。核の傘をはじめ、安全保障政策の多くをアメリカに依存するのが日本の実情である以上、トランプ政権への忖度が働きやすい。また、赤根所長は国際機関のトップなのであり、日本人とはいえ『えこひいき』ととられる発言はしづらいというものもあるのかもしれない。だが、法の支配を重んじ、その恩恵に浴してきたのが日本であり、ICCへの最大の資金拠出国でもある。その日本の首相ならば、せめて、ICCの自立性、中立性を支持することの表明があってもいいのではないか。アメリカへの批判を絶妙に忍ばせる政治文学の手法だってあるはずだ。政治の稚拙、工夫の欠如と言われても仕方ない。痛めつけられたICCを放置したままでは、ともに加盟するヨーロッパ諸国への顔も立たない」と続けた。

その上で大越氏は「あの戦争のモノクロの映像を見ながら改めて思う。高市首相は僕と同年代だ。彼女がどのような青春時代を過ごしたかは知らないが、政治家を志したくらいだから、ぼんやりと時間を過ごした僕よりも平和への思いは強いと信じたい。そのやり方は人それぞれでいい。でも、不穏な流れにただ流されるわけにはいかないし、そうしてはいけない。もう油断できない時代に入っている。あの戦争の反省を経て生まれた戦後秩序が崩れ去るのを座視したままでは、平和のありがたさの中で育った私たちの責務は果たせないのだ」と締めくくった。

このブログが掲載された3日後となる25日の取材対応で高市首相は、この件について「今回の措置は日本の立場と相いれるものではなく、大変深刻に受け止めています」と述べ、コメントをやや「修正」している。