NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の制作統括を務める、松川博敬チーフプロデューサー(50)が、5日までに都内で取材に応じた。天下統一する豊臣秀吉(池松壮亮)と、その弟で主人公の秀長(仲野太賀)の物語。6日放送の第34回「最強のライバル」を前に、松川氏は自ら切り出す形で「3分の2が終わって、ぜひここで、さらにギアアップして(TBS系)『VIVANT』に負けてられないなと思って(笑い)」と、冗談めかしながらも、同じ日曜日夜に放送のドラマへの対抗心をのぞかせた。
実際に「(7月12日放送)第27回の『本能寺の変』以降、さらに視聴者の熱量が上がっているなというのを、ひしひしと感じています。我々も自信を持って出した『本能寺の変』、その後の『急げ!秀吉』の中国大返しとか、すごく出来が良いと思っているので、そこが伝わって視聴者の皆さんの熱量が上がってきているなと感じます」と、「VIVANT」の放送開始前ごろから、確かな手応えを感じているという。特に「小学生とか、今まで大河ドラマに触れてこなかった視聴者層を取り込みたいという意図があって、実際にそうなっているという声を聞いて、すごく勇気づけられています」と、歴史に興味を持った子どもと、その親からの反響が大きいと説明した。
ドラマでは浅井長政(中島歩)の介錯(かいしゃく)を、妻の市(宮﨑あおい)が務めたり、直近の第33回では柴田勝家(山口馬木也)と市が、手をつないで北庄城から飛び降りたりと、これまでにない描写が多く見られ、多くの賛否がある。その点について松川氏は「史実と確定されているものに関しては外していないつもりなんですね。皆さんが史実だと思っている、いわゆる通説というものを疑って、そこに『そうじゃないんじゃないか』という提案をしているというのが我々のスタンスです。通説の中には、1つに書かれているから『そうなんだ』と思い込まれていることが、最近の研究で全然違う説が出たり、覆ったりすることがあるし、そもそも江戸時代に描かれた『太閤記』もフィクションであるとされていて、我々もさらにフィクションを作っている。その(太閤記)あたりを史実と思われているんじゃないかなと」と説明した。
史実として確定していない、細かな描写までは誰も分からないことについて、新たな提案、表現を取り入れていくスタンスだ。松川氏は「初めて戦国時代に触れる子たちが、一生懸命、没入して見てくれているのは1番狙っていたところ。それは歴史の再現ドラマではなく、まずドラマで、エンターテインメントであるということを、1番大事にしていた結果だと思います」と力説。子どもたちもワクワクして次週を楽しみに見てくれていることが、新たな大河ドラマの形になっていると感じていた。だからこそ「少年ジャンプ大河と言われていますね」と、笑って話した。
一方で「皆さん、期待しているところは外したくない。『敵は本能寺にあり』は、明智光秀役をやったら言いたいと思うんですよね。(光秀役の)要(潤)さんも言っていましたけど。言わせたいなというのがありました。本能寺の変は『待ってました』という期待に十分応えられたと思います。ちょっと変化球もありますけど、皆さんが見たいところはストレートに」と、王道も押さえていると自負していた。現在まで放送されている段階では羽柴秀吉、長秀を名乗る兄弟が今後、天下統一に近づいていく。史実も多くなり、これまでのような自由な描写も制限されるが「残りの回、もっと面白いですよ。合戦とかの見せ場はなくなっていくんですけど、ちゃんと人間同士のドラマが濃厚に描かれていて。最後までワクワクします」と、自信の表情で語っていた。



