総務省が30日発表した住宅・土地統計調査(速報値)によると、全国の空き家数は2023年10月1日時点で900万戸だった。5年前の前回調査に比べ51万戸増え、過去最多を更新した。住宅総数に占める割合(空き家率)は0・2ポイント上昇し、過去最高の13・8%で約7戸に1戸に当たる。所有者特定の難しさなどから解体や利活用が進まないのが要因。管理が不十分だと倒壊や、景観・治安の悪化につながり、行政の対策が急がれる。

空き家で多いのは、単身高齢者らの死亡や介護施設入所の後、そのまま放置されたケース。比較可能な1973年の空き家数は172万戸、空き家率は5・5%だった。93年は448万戸、9・8%となり、その後の30年間で戸数が倍増した。政府は昨年末、改正空き家対策特別措置法を施行し、対策を強化している。

都道府県別の空き家数は40都道府県で増加する一方、茨城、埼玉、神奈川、山梨、滋賀、大阪、沖縄の7府県は減少した。空き家率は和歌山と徳島の21・2%がトップ。最も低いのは沖縄の9・3%で、次いで埼玉9・4%、神奈川9・8%だった。

空き家には複数の種類がある。900万戸の内訳は、借り手が見つかっていない賃貸物件が443万戸で最も多く、売却用33万戸、別荘などが38万戸。これらに該当せず、使用目的のない物件は37万戸増の385万戸で、行政による空き家対策の主な対象となる。この割合は鹿児島、高知、徳島、愛媛が高かった。

住宅総数は6502万戸で、261万戸増えた。居住者がいるのは203万戸増の5565万戸。人口減少が進む一方、1人暮らしの増加で世帯数は増えており、住宅需要は高い。しかし空き家が十分に利用されず、新築住宅の供給が続いている状況を示している。

このほか住宅には、建築中など約40万戸がある。(共同)