安倍晋三首相と、東京都の小池百合子知事が11日、東京・新宿区霞ヶ丘町で行われた新国立競技場整備事業の起工式で同席した。

 小池氏は前日10日、来年夏の東京都議選に、自身の政治塾から選抜した塾生を擁立する構えを示したばかり。都議会自民党との対立の溝が深まる中、都議会で小池氏系勢力で多数派を握るのが目的だが、その自民党の総裁でもある首相と、式典で同席する形になった。

 式典中に行われたセレモニーでは、2人の間に丸川珠代五輪相が入り、首相と小池氏が言葉をかわす場面はなかった。

 その後、フォトセッションまでの数分間、まず小池氏が丸川氏に話し掛けて、談笑。その後、2人の中に首相が加わる形で、和やかな雰囲気で話が続いた。

 フォトセッション後に式典が終了すると、首相は小池氏に短く会釈して会場を後にした。

 小池氏は、首相だけでなく、二階俊博幹事長とのパイプもあり、これまで自民党の党本部とは「融和路線」を続けてきている。一方で、都知事選で自身を支援した7人の区議が、自民党東京都連から党を除名処分になったことには、強い不快感を示している。

 9日の定例会見では、自身の立場に関して、「私は都知事選出馬の際、幹事長は(当時)谷垣(禎一)さんだったが、安倍総裁、谷垣幹事長あてに『進退伺』を出している。党本部がその後、それをどう判断されるかは、党の考えではないか」と述べている。