大暑の23日、埼玉県熊谷市で国内の観測史上最高の41・1度を記録した。高知県四万十市で13年8月に観測された41・0度の最高気温を5年ぶりに更新した。この日は東京都青梅市40・8度、甲府市40・3度、岐阜県多治見市40・7度と4地点で40度を突破。4カ所の40度超えは07年8月以来、11年ぶりで、都内で40度を超えたのは初めて。気象庁は緊急会見し、猛暑は8月上旬まで続くとして警戒を呼びかけた。

 16年に使用をやめるまで「あついぞ!熊谷」のキャッチフレーズで知られた熊谷市が1806日ぶりに“日本一”を取り戻した。午後2時16分、四万十市で13年8月12日に観測された41・0度を更新する41・1度を記録。熊谷名物の八木橋百貨店の大温度計は、前回の国内最高40・9度(07年8月16日)までの表示しかなかったため、店員が「41・1」と手書きした紙を貼り付けた。

 2度目の日本一に金子和美さん(66)は「日本一は素晴らしいけど、住民としてはつらい」。突き刺す日差しに人影はまばらで、ソフトクリームを販売する八木原康代さん(72)は「誰も外に出なくなるので逆に売れなくなる」と苦笑した。熊谷の猛暑日はこれで11日連続。中学1年の中村駿斗君(12)は部活動は中止になっていると言い、「最近は救急搬送のサイレンばかり」と話した。

 熊谷市は05年から「あついぞ!熊谷」のキャッチフレーズを採用。八木橋百貨店が07年、「あついぞ!熊谷」と書かれた高さ4メートルの大温度計を設置すると、山形市が1933年以来保持していた40・8度の最高記録を74年ぶりに塗り替えた。市が「居住、観光にマイナスイメージがある」として「あついぞ!熊谷」の使用をやめたため、八木橋百貨店も昨年でそれまでの大温度計を撤去。今年は「熊谷夏の陣」と書いた大温度計を設置した。

 市民からは「インパクトがない」との声が上がっていたというが、八木橋百貨店が大温度計を設置すると日本一になるという新たな伝説が誕生した。