台風19号による猛烈な雨により甚大な被害が出た東北、関東など広範囲の現場では、14日も水が引かず、復旧に向けた作業が続いた。多数の新幹線車両が水に漬かった長野市のJR東日本の「長野新幹線車両センター」では水が引いたものの、北陸新幹線東京~金沢間の全線運転再開に向けた見通しは立たず、秋の観光シーズンへ懸念もある。共同通信の集計では、11県で死者56人、行方不明者16人になった。被害の全容はいまだ見通せない状態だ。

台風19号に伴う猛烈な雨により、広い地域で起きた甚大な被害。14日、警察や消防、自衛隊が、取り残された人の救助や行方不明者の捜索を続けた。ただ、いまだに全体の被害は見通せていない。堤防の決壊で、河川の流域が広く水に漬かり、水の深さで立ち入りが困難な場所もあるためだ。

国交省や総務省消防庁によると、各地で決壊した堤防は調査の結果、さらに増えて、7県の37河川52カ所に上ったことが判明。住宅の床上浸水は1975棟、床下浸水は1729棟に達した。14日には岩手、宮城、福島、神奈川、長野、静岡の6県で新たに遺体が発見され、死者は計56人に上っている。

一方、長野県の千曲川堤防決壊の影響で、北陸新幹線の車両が「水没」しかける衝撃的な姿が明らかになった、JR東日本の長野新幹線車両センター付近はこの日、水が引いた状態で、10編成120両の車両全体が姿を現した。ただ、センターのある長野市赤沼地区は避難指示が続いており、屋内施設など詳しい被災状況の調査は難航している。同車両は、新幹線のファーストクラスといわれる「グランクラス」を有し、鉄道ファンにも人気が高いが、水の深さは最大約4・3メートルに達したとみられ、車両への影響が心配される。JR東日本は「新幹線が走る本線に浸水しているとの情報もあるが、確認に行けないため分からないのが実情」と説明。13日夜から東京~長野間で本数を減らして運転、金沢~富山間は通常運転を続けるが、この日、東京~金沢間の全線の運転再開について「相当の期間を要する」と発表した。観光への影響も懸念される。

崖崩れや土石流、地すべりなどは各地で多発。国交省のまとめでは、土砂災害は、19都県で計140件に上った。一部の河川は水位が高い状態が続く。関東や東北地方では14日も雨が降り、2次被害の恐れもあることから、慎重な救助、復旧作業が続いた。

停電も広範囲で継続。浄水場の被災や水道管の破損などで断水が続く地域も、厚労省によると13都県の計13万8000戸ある。断水が続く施設には病院や障がい者施設も含まれ、厚労省はこの日、ライフラインの確保に向けて被災者支援チームを立ち上げた。それでも、被災者の生活再建には時間がかかるとみられる。