日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が、日本から国籍があるレバノンに逃亡した事件で、同被告が起訴された金融商品取引法(金商法)違反と会社法違反(特別背任)の事件で弁護人を務めた、弁護団の弘中惇一郎弁護士(74)が7日「今後、ゴーン氏について取材を受けることはありません」と、報道各社に文書で通知した。

弘中弁護士は文書の中で「これまでは、弁護人としての立場で、公判前整理手続き中の金商法違反、会社法違反の事件についての弁護人の主張、立証あるいは裁判の進行状況について、メディアの方々に正確な理解をしていただきたいと思って、囲みなどの取材に応じて参りました」と、これまでの経緯をつづった。その上で「しかし、まもなく、元の事件については弁護人でなくなる可能性が高いため、これまでのような発言をすることは意味がなくなって参りました」と、ゴーン被告が再来日しないと裁判が始まらない、難しい状況であることを示唆した。

その上で、弘中弁護士は「今回のゴーン氏の出入国違反の事件については、われわれは弁護人ではありません」と主張。「また、捜査中の事件で、捜査の進行に関する事柄をむやみに話すことは適当ではないと考えます。さらに、質問されることの中には、元の事件で弁護人として知っている事項やそれに関連する事項が含まれていますが、それについては、守秘義務という弁護人の基本的責務からして、話すことは出来ません」とした。

ただ「唯一、今回、ゴーン氏が日本を出た理由として刑事司法の公正さの問題が指摘されているようなので、それについては、今月8日にゴーン氏の会見を見た上で、必要な範囲で、補足的に事実経過や問題点の説明をする必要があるかも知れないと考えております」と、ゴーン被告が8日にレバノンの首都ベイルートで開く予定の会見次第で、取材対応の可能性があることを示唆。「それについては、FCCJにおける会見という形にしたいと思っております」と、日本の刑事司法の公正さの問題に関しては、都内の日本外特派員協会で会見を開く可能性を示した。