東京都知事選は5日、投開票され、現職の小池百合子氏(67)が再選を果たした。

強力なライバル不在の中、公務を優先、新型コロナウイルス感染症対策に打ち込む現職をアピールしたが今後もコロナ対策や東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催など、課題は山積みだ。前回選挙で掲げた目標もほぼ達成できず、1期目以上に厳しい目で見られ、2期目は政治家として正念場を迎えることになる。

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午後8時の開票とほぼ同時に、小池氏は再選を確実にした。白いジャケット、勝負カラーの緑のインナーで事務所に現れた小池氏は、代表取材に「都民の皆様の力強いご支援を大変うれしく感じると同時に、これからの大切な2期目、その重責を担っていく。責任を感じています」と話した。

前回選挙で掲げた「東京大改革」をもとにした1期目の自己採点はせず、「選挙で都民に評価してもらう」との立場を貫いてきた。大差での圧勝に「4年間、東京大改革を進めてきた。それをご評価いただけたと大変うれしく思う」と述べ、再選という結果が1期目4年間への、都民の評価だと強調した。

新型コロナウイルス感染防止を理由に、選挙戦で1度も街頭に出なかった。再選決定後のバンザイもなし。「まだコロナ禍の真っただ中。ここで万歳という気持ちにはなかなかなりにくい」。それでも、荒木ちはる選対本部長から百合の花が入った花束を渡され、とびきりの笑顔を見せた。

選挙活動は、オンラインを貫いた。荒木氏によると、選挙活動は1日に数時間だけの日もあったという。一方で、現職としてコロナ関連で何度も会見を開催。結果的に“コロナと闘う現職”をアピールする形になったという見方もある。

その姿は、2期目も変わらない。それどころか、ますます結果が問われることになる。5日まで、4日間連続で新規感染者数が100人を超えた。「喫緊の課題は、何よりも新型コロナ対策」。夜の街関連など、若い世代の感染が増えており「第2波に備える意味でも、非常に重要な時期」と述べ、東京版CDC(米疾病対策センター)の設立などをあらためて訴えた。

2期目も、多くの壁が立ちはだかる。都はコロナ対策で財政面が危機的な状況にある。休業再要請の際、保証はできるのか-。さらにその状況で、来年に延期された東京五輪・パラリンピックは、安全安心に開催できるのか-。「無風」と言われた今回の戦い。ライバルは圧倒したが、力量が問われる2期目となる。【近藤由美子、佐藤勝亮】

<小池4年間のおもな歩み>

▼16年7月31日 都知事選で291万票を獲得し、初の女性都知事に就任。

▼8月 リオデジャネイロ五輪に、次期開催都市のトップとして出席

▼8月31日 11月7日に予定された、築地市場の豊洲市場への移転延期を発表。開場は18年10月11日に

▼9月 20年東京五輪・パラリンピック会場見直しを提起、一部で混乱も

▼17年7月 地域政党「都民ファーストの会」を率いて、都議選で圧勝

▼9月25日 新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任。国政進出を目指すも「排除発言」で失速

▼11月14日 衆院選で敗北。希望の党の代表を辞任

▼20年3月24日 東京五輪・パラリンピックの1年延期が決まる

▼4月7日 新型コロナウイルス感染拡大で7都府県で緊急事態宣言発令

▼5月25日 緊急事態宣言全面解除

▼6月2日 都民に感染拡大の警戒を呼びかける「東京アラート」発動。11日に解除

▼6月12日 都知事選再選出馬を表明