パンダが豆まき!? 東京上野動物園の双子ジャイアントパンダ観覧はオミクロン株拡大で休止中。

そんな中、神奈川県海老名市の有鹿(あるか)神社では3日、「パンダ宮司」が節分祭で病気やコロナ、災害を追い払う儀式を行った。

本殿で豆をまいた後は、パンダグッズもプレゼント。「お子さんたちに~」と声をかけたが、ご時世を配慮して節分祭の告知をしていなかったため、集まったのは大人のみ十数人。目を白黒させた? が、「お孫さんやお子さんにお土産で~」と切り替えて盛り上げた。

宮司代理で普段は禰宜(ねぎ)を務める小島実和子さん(50)は「中身は私です」と明かした。きっかけは宮司の父庸和さんだった。「父は肌が白くて、たれ目で、かわいい顔をしているんです。もともと『パンダ宮司』って呼ばれていたんです。父は留守の時に代理になれればと思って」。17年5月、最初はSNSで神社を発信するために「パンダパペット」を使用した。地元テレビ局が取材に訪れた際に「えっ、小さい」とがっかりしたことで一念発起。翌月の催事には「パンダ宮司」を誕生させた。

横浜中華街で見つけた“頭部”のかぶり面を約3000円で購入。100円均一店の紙粘土を駆使し、父に似た顔と強度を増すよう手を加えた。「由緒ある神社なので祭りの時に神楽を行っていたという書物があったんです。いろいろな動物が登場したという美しい光景の記載もあったので、復活させようという思いも加わった」。

翌年には「レッサーパンダ宮司」も披露。「本当はレッサーパンダ宮司が出てきたら『おい、おい、お前じゃないよ~』みたいなオチキャラのつもりだったのですが、かわいいと女性に人気になってしまいました」。以降は、干支(えと)にちなんだ新キャラクターも増え、この日は「トラ宮司」も豆まきに参加した。

パンダ宮司と並ぶ人気キャラには「ネギ禰宜(ねぎ)」もいる。頭部の長さは約2メートル(身長約3メートル50センチ)だが「紙を丸めるだけなので作るのは比較的簡単です」。昨年はネギで弾くバイオリニスト、ながりょーさんと境内でコラボ企画も実現。奇抜な外見と伝統的神事の異色さは、台湾などの海外でも取り上げられ、“パンダ宮司一族”の人気は世界に及んでいる。

パンダ宮司は「コロナによって起こる人間同士のあつれきやストレスがないように、いろいろな活動が出来れば良いと思っている」と願った。コロナで積極的参拝を呼びかけたりイベント開催が出来ないため、今後はユーチューブ配信にも力を入れる予定。心臓の容体が良くない神戸・王子動物園のジャイアントパンダ「タンタン」の健康祈願も行っている。

次の願いはジャイアントパンダとの対面だ。「上野の双子パンダちゃん、かわいいですよね。実はまだ、パンダとお目にかかったことがないんです」。実現に向けて「本当はパンダ宮司のまま行きたいのですが、あちら(上野動物園)に怒られてしまうかな」と困惑しながらも期待を寄せた。手土産はササではなくネギ?【鎌田直秀】

◆有鹿神社 神奈川県最古の神社。弥生時代に農耕の発展にともなって農耕の安全と豊作を祈る水引祭を起こし、有鹿大明神として創建されたとされる。664年(天智天皇3)に初めて祭礼が行われた。本宮は男の太陽神「有鹿比古命(あるかひこのみこと)」、奥宮は女の水神「有鹿比女命(あるかひめのみこと)」がご祭神。中宮は両神。本殿は1622年(元和8)に再建され、海老名市の文化財指定。「神奈川のへそ 子育厄除大社」として親しまれる。本宮の鎮座地は海老名市上郷1の4の41。奥宮は約6キロ北の相模原市南区磯部勝坂1776にあり、有鹿の泉が今も湧き出している。