岸田文雄首相は17日の参院本会議で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる党内処分で、自身が対象にならなかったことから、あらためて責任を取り自民党総裁を辞任する考えがあるか問われ「私が先頭に立って責任を果たすことしか考えていない」と述べ、辞任要求を拒否した。

立憲民主党の杉尾秀哉議員の質問に答えた。

「訪米お疲れさまでした」と切り出した杉尾氏は、米国から帰国後の岸田首相を「裏金問題とともに沈みゆく岸田総理」と表現。「自民党裏金問題という、あり地獄。処分が実に評判が悪く、自民党には怒りや恨みが渦巻いていると聴く」とも述べ、離党勧告処分を不服として再審査請求を行ったものの、16日に処分が確定した元安倍派座長の塩谷立元文科相が岸田首相の処分がないことを批判的に論じていたことを「至極、まっとうな主張」と皮肉った。

杉尾氏はその上で、自民党総裁ながら裏金問題でまったくおとがめなしとなっている岸田首相に対し「1度でも、自分の処分を考えたことはあるか。総裁を辞めても当面は総理でいられる。今からでも遅くない、自民党総裁を辞めてはどうか」と、ただした。

これに対し、答弁に立った岸田首相は「(自身を処分の)対象としないと、党として判断されたことと思う」と、人ごとのように答えた上で「党全体として政治不信を招いたことについて、自民党総裁としての責任は重く受け止めている」と述べた。

一方で、党のガバナンス改革や、政治資金規正法改正を含めた再発防止策や政治改革を断行することが「総裁の責任のあり方だ」と持論を主張。「これからも私が先頭に立って責任を果たしていくことしか、考えておりません」と述べ、辞任要求を拒否した。

首相のゼロ回答答弁には、野党側から大声のヤジが飛んだ。