競馬の“裏方”を知ってもらえる機会に-。「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は東京・深田雄智記者が、夏の函館出張で取材した「わくわく親子見学ツアー」の様子を紹介する。さまざまな職業に触れるコーナーがあった中、現状の危機感を伝えたのは装蹄師たちの実演。函館競馬場の主催イベントに全面協力した藤岡佑介騎手の言葉から、あまり知られていない職業を知るきっかけになった。

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函館の全開催が終了した翌日に行われた「わくわく親子見学ツアー」は、木馬や乗馬を現役騎手たちが実演し、その後に体験。また獣医師や装蹄師の実演に、普段入ることのできない検量室の中を見学など充実したツアー内容に、参加していた子どもたちと同等に、私も胸が躍りました。

函館競馬場で行われたツアーに参加した騎手と子どもたち
函館競馬場で行われたツアーに参加した騎手と子どもたち

イベント後、藤岡佑騎手は「コロナ禍を機にこうしたイベントは減っていたが、子供向けに競馬へ興味を持ってもらえるようなイベントを…と考えていました」とイベントの意義を説明しました。

振り返ると、子どもたちがうれしそうな顔をしていたのは、やはり乗馬体験のコーナー。「楽しい」「ジョッキーになりたい」という言葉も聞こえました。

ただ藤岡佑騎手は「馬に携わる仕事はたくさんある。いろいろな人の支えで成り立ちます。騎手はシンプルで分かりやすいけど、他にも競馬に関わる仕事が見つかれば、興味を持ってくれたらうれしい。競馬は魅力あるものだと、強く思っています」と騎手以外の職業にも注目するきっかけを作る意図もあったと教えてくれました。

記者の立場から一番興味を持ったのは装蹄師の実演コーナー。実際に説明しながらたたいて、焼いて、馬に蹄鉄(ていてつ)を取り付けている姿に親子はくぎ付け。形容しにくい独特のにおいも意に介さず、夢中でした。乗馬用と競走馬用の蹄鉄(ていてつ)でくぎの刺す位置や交換時期の違いは勉強になりました。また、参加者には蹄鉄が配られ、海外ではお守りとして使われているという説明もありました。

さて、装蹄師の現状は日本に1つだけある装蹄師の専門学校(装蹄教育センター)では毎年20人ほど募集しているが、これから人手が少なくなる局面も想定していると話されました。

そんな装蹄師という職業を、実演した安東知輝さんは「馬の脚元から支えているという責任感はありますけど、そこがやりがいですよね。あとはやっぱり自分が担当した馬が勝ったときはうれしいですよ」と職業の魅力を伝えます。自身も最初は騎手を目指していたそうですが…。「体が大きくなっちゃって(笑い)。それでも馬に携わりたいと思ってずっと馬術をやっていて、高校時代に装蹄師という存在を知りました」ときっかけを明かしました。

競馬があるのはこうした裏方の存在が力強いからこそ。騎手だけでなく、いろいろな形で競馬に関われることを知って欲しい。今回の参加者の中で、競馬の仕事に就きたいと思った子を何年後かに取材できる日が来ることを待ち望みます。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)